プール開放日に示し合わせて行った本当の動機
挿絵の画像を生成する際には、「AIイラストくん」と「Ainova AI」を使用させて頂きました。
暑い夏休みならではのレジャーと言えば、何と言っても水遊びだよね。
私こと猪地乃紀の住む堺市は堺県の県庁所在地ではあるけど、大浜公園の海水浴場や浜寺公園の大プールへのアクセスも良好だから、水遊びについては恵まれた方かな。
だけど有料プールや海水浴場だと、何かとお金がかかるんだよね。
私達みたいな小学生としては、無料で使える学校のプールがお似合いだよ。
そういう訳で私は今日も、通い慣れた市立土居川小学校のプールで夏の日を涼しく満喫してきたって訳。
学校のプールにはスライダーも海の家も無いけど、クラスの友達二人と一緒に遊べば問題無く楽しいよ。
だけど私達三人にとっては、むしろプールを出てからが本番なんだ。
それと言うのも…
「押し相撲の挙げ句にプールサイドから落ちた男子達は傑作だったね、乃紀ちゃん。あれも書いちゃおうよ。」
そんな私に呼び掛けてきたのは、同じクラスの月石明花ちゃんだ。
明花ちゃんったら瓶入りコーラの一気飲みの直後なのに、涼しい顔だよ。
「あれは絵日記のネタにピッタリだね、明花ちゃん。だけど一応、『私達も気をつけようと思いました。』の一文は入れとこうよ。男子達、先生に怒られてたよね。その立場も考えて、書き方はマイルドにしなきゃ。」
最中アイスの残りを飲み込みながら、私は同級生の発案にアドバイスを送ったんだ。
そう、私達が学校のプールに行ったのは、宿題の絵日記のネタ探しも兼ねていたんだ。
こうして示し合わせて日記のネタを探すのは、一人でやるより何かと便利なんだ。
事実誤認もなくせるし、談合して下準備をすれば話を盛る事だって出来るからね。
「TV風に言うなら、充分な撮れ高だね。おニューの水着が霞んじゃうから、私としては複雑だけど。」
口では茶化していたけど、もう一人の友達の千里ちゃんは少し残念そうだった。
海水浴用に新調したという黒ビキニは確かに学校のプールで着るには派手だったけど、他に良いネタがあるんだから仕方ないよね。
「まあまあ、千里ちゃん。水着のネタは海水浴の日記を書く時まで取り置きしたら良いじゃない。」
「それは良いね、明花ちゃん!よし、今度は海水浴で日記のネタ探しをしよっと!」
と思っていたら、二人の間で勝手に話が決まっちゃったね。
今日プールに行ったばかりなのに、舌の根も乾かないうちにまた泳ぎに行くの?
うーん、それは少しマンネリじゃないかな。
千里ちゃんの機嫌が直ったのは、確かに良かったけど。




