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侍従の苦労

「旦那様、そろそろお嬢様の婚約者を決めませんと」


「まだ早い」


「遅すぎるくらいですぞ」


ジスランはこの日、侍従と喧嘩していた。喧嘩の理由は、アンリエットの婚約者の話だ。


「お嬢様の婚約者となる方が、このエステル公爵家を継ぐのですぞ。早く決めてしまわねば」


「いやだ」


「では、遠縁の親戚から後継者候補を引き取り育てますか?」


「それではアンリエットに何も残してやれないじゃないか」


「では婚約者をお決めください」


ジスランは困った顔をした。


「どっちもいやだ」


「いいからはやく決めてくだされ」


「せめてあと一ヶ月待ってくれ」


「そのセリフ、先月も先々月も聞きましたぞ」


ジスランの悪足掻きに、侍従も思わずため息をつく。


「次こそは決めてくだされよ」


「わかった…」


「そのように、この世の終わりのような表情を見せないでくだされ」


ジスランの落ち込みっぷりに侍従はまたため息をついた。


この主人は、お嬢様を行き遅れにするつもりなのか。


まあでも、いざとなれば修道女になる道も女性にはある。行き遅れになってもまだなんとかなるだろう。


侍従は、そう言い訳して現実逃避を始めた。



















もちろんそんな話、アンリエットは知る由もなかった。

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