仮装の準備
「ハロウィンが近いわ!」
「そうですね、アンリエット様」
「仮装の準備をしなくちゃ!」
毎年、ハロウィンの時期にはアンリエットは仮装を張り切る。
というのも、アンリエットの仮装を父であるジスランがとても喜ぶからである。
「今年は黒猫の仮装はどうかしら。黒いドレスに猫の尻尾をつけて、頭には猫耳カチューシャをつけるの」
「とてもよろしいと思います」
アンリエットの仮装を喜ぶのはジスランだけではない。アンリエットが大好きなジャンヌも心の中では大喜びである。
「ハロウィン、楽しみですね」
「ぴゃっ」
ルロワとルーヴルナも初めてのイベントを楽しみにしているらしい。そんなルロワとルーヴルナに、アンリエットは微笑んだ。
「ルロワとルーヴルナの分の仮装も、用意しましょうね!ルロワは背中に天使の羽のついたお洋服を用意して、ルーヴルナは…私とお揃いの黒猫の衣装はどうかな」
「ぴゃっ!」
「はい、とっても素敵です!ありがとうございます!」
そんな可愛らしいやり取りを見守っていたジャンヌ。しかし、アンリエットにワクワクした表情で問われてしまった。
「ジャンヌは今年はどんな仮装をするの?」
「ジャンヌさんも仮装するんですか!楽しみです!」
「ぴゃっ」
…本当は、ジャンヌとしては仮装はとても避けたい。仮装は、ジャンヌ的にはちょっと照れてしまうのだ。しかし毎年、アンリエットが楽しみにするから仕方なく仮装しているのだが。
「…包帯男の格好にしましょうかね」
「まあ、包帯でぐるぐる巻きにするのね!」
「面白そうですね、ジャンヌさん!」
「ぴゃっ」
「…そう、ですね」
とはいえ。ジャンヌは、年に一度のこのどんちゃん騒ぎは嫌いではない。アンリエットの仮装を見られるし、お菓子は貰えるし、いい事尽くめだ。
なので、最終的には。
「…今年は、ルロワ様とルーヴルナ様もいらっしゃるので更に賑やかになるでしょう。楽しんでくださいね、アンリエット様」
「もちろん!」
こうして、ノリノリになるのだ。




