アンリエット、回復
「ジャンヌ、アンリエット達は?」
「アンリエット様は、ナハト様のお家で休ませていただいています。治癒魔法の魔道具は継続して使っております。ルロワ様とルーヴルナ様には付き添いをお願いしています」
「なるほどな。連れて帰ろう」
「はい」
「ジャンヌー!ジェイド様ー!」
そこに、噂のアンリエットが駆け寄ってきた。ナハトの家から出てきたらしい。
遅れてルロワとルーヴルナもアンリエットたちはを追いかけている。
「ご主人様、まだ走ってはいけません!」
「ぴゃっ!」
「だって、ジェイド様が怪我をしてたら…っ!」
「アンリエットー、俺は無事だぜ?」
ひらひらとジェイドが手を振れば、アンリエットは安心したように笑いジェイドの胸に飛び込んだ。
「ジェイド様、ご無事でなによりです!」
「ん、心配させてごめんな」
そんなアンリエットの頭を優しく撫でるジェイド。
「治癒魔法の魔道具は?」
「あ、ここにちゃんと!」
アンリエットに付いてきて空を飛ぶ治癒魔法の魔道具を見て、ジェイドは満足そうに頷いた。
「ちゃんと治癒は受けっ放しなようでなにより」
「ふふ、はい」
「ちょっと待ってな」
ジェイドは魔道具の記録を見て、アンリエットが貧血から回復したのを確認する。
「うん、これだけ回復していれば問題ない。帰ろうか」
「はい!でもその前に…どうなったか、教えてください」
ナハトの家でずっと治癒され、結局は戦いがどうなったか知らないアンリエット。
疑問を持つのも無理はない。
「人狼に襲われそうになったが、そこのヴァンパイヤ殿に助けられてね。あとは狂信者の三下しかいなかったから、ちょっとお灸を据えて拘束した。後のことは彼ら本人に任せるよ」
「まあ!」
そこで拘束された星見教狂信者に気付くアンリエット。しかし、何をしてあげられるわけでもないのでそっと憐れみの目を向けてから視線をアーベントに移す。アーベントは視線に気付き、口を開いた。
「ヴァンパイヤの一族が長、アーベントだ。血を捧げていただき、大変助かった。集落の者達を救ってくれて、本当にありがとう」
素直な感謝の言葉に、アンリエットは嬉しそうに笑う。
「こちらこそありがとうございました!」
「それと、そこの御仁は多分我の手伝い無しでも人狼に勝てていただろう」
「まあ俺は天才だからな!」
「すごいです、ジェイド様!」
「じゃあ、そろそろ屋敷に帰ろうか」
アンリエットはジェイドに手を握られる。
「はい!では皆様、また今度」
「天使殿。三日月教信者の族長として、深くお礼申し上げる。また、いつでも来てくだされ。歓迎します」
「いえいえそんな…」
「ありがとう、天使様!」
「ありがとう!」
彼らの心からの言葉に、胸が熱くなるアンリエット。そして屋敷に転移した。
結局、アンリエットが拘束された星見教狂信者の処遇を知ることはなかった。
その後、集落では静かに処刑が執行されたという。




