精霊
「そういえば、アンリエットは精霊の森って行ったことあるか?」
「いえ、ありません」
「じゃあ一緒に行ってみよう!」
「え!?」
「いいからいいから」
アンリエットはジェイドに誘われて、ルロワとルーヴルナ、ジェンヌと共に精霊の森に行くことになった。
「わあ…!」
その幻想的な空気に、アンリエットは思わず目を輝かせる。
精霊の森は辺りに妖精達や精霊達が漂い、それはまるでカラフルなホタルの集まりのようだった。湖は透き通り、森の木々も優しく葉を揺らす。
「来てよかっただろう?」
「はい、ありがとうございます!ジェイド様のお陰で素敵な景色を見られました!」
「うんうん」
はしゃぐアンリエット。ルロワとルーヴルナも生まれて初めての景色に楽しそうだ。特にルロワは妖精達を追いかけ回してはしゃいでいる。ジェイドとジャンヌは、そんな三人の楽しそうな様子を微笑ましそうに眺めていた。
「おや」
そこに、精霊が一柱近付いてきた。
「こんにちは、精霊さん」
アンリエットが挨拶をすれば、精霊はアンリエットの周りをクルクルと回って挨拶を返してくれた。
「ふふ。精霊さんは何か御用かしら」
そうアンリエットが問えば、付いてきて!と言わんばかりにアンリエットを誘導しようとする精霊。全員で精霊についていくことになった。
「…これは、お花畑?」
アンリエットが案内された先には、珍しい花…水葬花の花畑があった。
「おお!こんな穴場があったなんて知らなかったな!」
目を丸くするジェイド。ジャンヌも、これだけの水葬花は見たことがないと驚いていた。
アンリエットとルロワとルーヴルナにはその珍しさはピンとこないが、水葬花と呼ばれる花が綺麗なのはわかる。
うっとりと見惚れていたアンリエット。そんなアンリエットに、精霊はクルクルと周りを回る。
「もしかして、持って帰っていいとおっしゃっているのですか?」
アンリエットがそう問えば、精霊は満足そうに飛ぶのをやめた。
アンリエットは一輪だけ、花畑から水葬花をもらう。
「これをお土産にいただいていきますね。ありがとう、精霊さん」
そうアンリエットが言えば、精霊はまたクルクルと飛んで喜びを表した。
屋敷に帰るとアンリエットは、その水葬花を部屋に飾った。
水葬花は美しく咲き、アンリエットに癒しを与えた。




