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エステル家のお姫様は、今日も大切に愛される。  作者: 下菊みこと


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盗賊

「今日の交流会は大成功だったわね」


「はい。先陣を切ったアンリエット様の功績かと」


「ふふ。それならいいのだけど」


「ぴゃっ」


「ご主人様、ルロワさんもご主人様のおかげだと言っていますよ」


「あら、嬉しいわ」


アンリエットはダークエルフとの交流会の帰り、馬車の中でそんな話をしていた。


だが、和やかな雰囲気の中突然馬車が止まる。


「…あら?こんなところで、なにかしら」


「…っ!」


アンリエットはおっとりと首を傾げたが、ジャンヌとルロワが警戒態勢に入る。ルーヴルナはアンリエットを守るように抱きしめた。


「…おらぁっ!有り金全部よこしやがれ!」


そして、馬車のドアが無理矢理開かれた。乱暴な盗賊が押し入る。


「ん?ほうほう。べっぴんさんが三人に、使い魔が一匹…売れば良い儲けになりそうだ」


盗賊はアンリエットの腕を掴んで引き摺り出そうとした。


だが、それを許すジャンヌではない。


「アンリエット様に触れるな!!!」


風魔法で盗賊を馬車の外に吹き飛ばすジャンヌ。


「ルロワ様、ルーヴルナ様!アンリエット様をお願いします!」


「ぴゃっ!」


「はい、任せてください!」


アンリエットが目を白黒させている間に、ルロワとルーヴルナがアンリエットを守りジャンヌが馬車の外に出た。


「な、なんだ、女一人に押されたんじゃねぇよ!」


「こいつ、結構な魔法の使い手だ!油断すんじゃねぇ!」


「なんだと!?」


わらわらと盗賊の仲間が集まるが、むしろジャンヌにとってはその方が好都合だった。


「アンリエット様の危険に晒すなど、あってはならない失態。お前達の首で取り返させてもらう」


「ふん、大口叩いたってなぁ…!…あ?」


ジャンヌは魔力で身体を強化し、懐の短刀で盗賊達の首を狙う。


気付いた時には盗賊達の首は胴体から離され、辺り一面血の海と化していた。


ジャンヌは、魔法剣術をそこらの騎士以上に嗜んでいたのだ。その実力は、聖騎士達に負けず劣らずである。


「…よし」


そしてジャンヌは、馬車をまた出すように御者に伝え何食わぬ顔で馬車に戻る。御者の怯えたような表情に、ジャンヌは少し傷ついたが知らぬ顔をした。


「あの、ジャンヌ。さっきの方は…?」


「…対処いたしました。屋敷に戻り次第、治安部隊に連絡致します。私の不手際で、アンリエット様を不安にさせてしまったこと誠に申し訳ありませんでした」


「そんな!ジャンヌは何も悪くないわ!守ってくれてありがとう。ルロワとルーヴルナも、ありがとう」


「ぴゃっ」


「ご主人様がご無事でなによりです。ジャンヌさんも、落ち込まないでくださいね。かっこよかったです」


こうしてアンリエットは、屋敷に戻った。ジャンヌはすぐ治安部隊に連絡。ジスランにも報告し、自らの不手際を詫びた。だが、ジスランによくアンリエットを守ったと逆に褒められてなんとも言えない表情を浮かべることとなった。


治安部隊は、ジャンヌの行為を正当防衛として認めジャンヌが咎められることもなかった。

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