聖騎士の公開訓練
アンリエットはルロワとルーヴルナと寝食を共にするようになった。ルーヴルナは動く人形だが食べ物も食べられる。使い魔と同じく、食べたものを魔力に変換出来るらしい。
「おはよう。ルロワ、ルーヴルナ」
「ぴゃっ!」
「おはようございます、ご主人様」
今日もルロワとルーヴルナを連れて、ジスランの待っているだろう食堂に向かうアンリエット。
「お父様、おはようございます!」
「おはよう、アンリエット。ルロワとルーヴルナもおはよう」
「ぴゃっ」
「おはようございます、ジスラン様」
にこやかに挨拶をするジスラン。その表情は、いつもより明るく見えた。
「お父様、何か良いことがありましたか?」
「おや、わかるかい?さすがはアンだ。…実はね、前々からアンが興味がある様子だった聖騎士の公開訓練。あれのチケットを購入出来たんだ。よかったらみんなで観に行かないかい?」
「…まあ!お父様、大好き!」
アンリエットはジスランに抱きつく。ジスランはそんなアンリエットを軽々と受け止めた。ルロワとルーヴルナは、そんな二人の様子にニコニコだ。
「聖騎士様の公開訓練、きっと素敵なんでしょうね」
「はは。魔法剣術なんかも観られるから、アンにとってはすごく楽しいと思うよ」
「ああ、楽しみだわ!」
ということで、今日アンリエットは念願の聖騎士の公開訓練を観られることになった。
「ここが聖騎士様の訓練場ね!」
「さすがに広いなぁ。厳かな雰囲気だね」
「ぴゃー」
「ご主人様の期待するような聖騎士様はいらっしゃるでしょうか」
チケットを受け付けで渡して入場する。観客席は貴族や商人、裕福な平民達がそれぞれ場所を区切られているらしい。アンリエット達はもちろん貴族用の席。それも、VIP席に案内された。
「まあ!この席なら聖騎士様が見やすいわ!」
「良い席を取れて良かったよ」
「ぴゃーっ」
「そろそろ始まる頃ですね、ご主人様」
そして、公開訓練が開始された。
聖騎士達が魔法剣術を使い、それぞれ一対一で相手と真剣勝負をする。勝ち上がりのトーナメント戦形式らしい。
「まあ!魔法剣術が早速観られるわ!」
「そうだねぇ。かっこいいね」
「ぴゃーっ!」
「ふふ、ルロワさんも大興奮ですね」
聖騎士達の迫力ある真剣勝負に、アンリエットとルロワは目を輝かせる。そんな二人を、ジスランとルーヴルナは慈しむような表情で見守っていた。




