リオネル
「お父様」
「どうかしたかな?アン」
「お父様にお願いがあるの…」
瞳を潤ませるアンリエットに、ジスランは頷いた。
「いいよ」
「え?まだ何もおねだりしていません」
「大丈夫。アンからのお願いならなんでも叶えてあげるよ」
ジスランは、度を超えた親バカなのである。
「ということで、来たわ!」
「まさか男爵家に遊びに行くと言い出すとはね」
「ダメでしたか?お父様」
「まさか。私もあの少年のことは気になっていたしね」
馬車から降りるジスランとアンリエット。
「お姉さん!」
「リオネル君!」
出迎えに来てくれたリオネルが、アンリエットに抱きつく。アンリエットはそんなリオネルを優しく抱きしめる。
「会えて嬉しい…です!」
「ふふ、私もよ!」
アンリエットとリオネルの穏やかな雰囲気に、ジスランとジャンヌは胸にグッとくるものがあった。
一方で男爵も、リオネルの喜びようにグッときていた。
「今日は、僕がお姉さんにお礼をたくさんします!肩揉みとか、マッサージとか、お花もあげます!」
「ふふ、嬉しいわ。ありがとう」
張り切るリオネルに、アンリエットは癒される。そして、ここから怒涛のおもてなしが待っていた。
アンリエットは、リオネルから一通りマッサージやらお花のプレゼントやらのおもてなしを受けた。アンリエットとリオネルの楽しそうな顔に、一同癒される。
しかし、時間というのは平等なもので、すぐに帰る時間が来てしまった。
「じゃあね、リオネル君。また会えるのを楽しみにしているね」
「お姉さん、体調には気をつけてね。元気でね」
すごく寂しそうな顔で、健気に見送るリオネル。アンリエットはそんなリオネルに、馬車から手を振って別れを惜しんだ。




