あの子のその後
「そういえば…」
「どうしました?アンリエット様」
「あの子は今、どうしているかしら」
アンリエットの言うあの子とは、男爵家に引き取られたあの少年である。
「男爵家に引き取られた彼ですか?」
「そう。元気にしているといいのだけど」
「そのことですが、ちょうどその男爵家からお手紙が届いたところです」
ジャンヌはアンリエットに手紙を渡す。アンリエットは目を輝かせ、封を開けた。
「あら!」
拙い文字で書かれた手紙。あの子からのものだとすぐにわかった。
『お姉さんへ
お元気ですか?僕は元気です。
お姉さんに助けてもらって、僕はおじいちゃんと会うことができました。
おじいちゃんは厳しいけど、とっても優しいです。
お勉強は難しいけど、知らないことを知るのは楽しいです。
お姉さんはとっても偉い人で、なかなか会えないと聞きました。でもどうしてもお礼を言いたくて、お手紙出しました。
お姉さん、ありがとう。僕はとっても幸せです。
リオネルより』
心を込めて書いてくれたのがよくわかる手紙。それにアンリエットは気を良くした。
「ふふ。あの子は元気そうね」
「それは良かったです」
「あの子、リオネルと言うらしいわ。可愛いあの子にぴったりの名前ね」
そう言うアンリエットの目がとても優しくて、ジャンヌは眩しそうに目を細めた。




