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エステル家のお姫様は、今日も大切に愛される。  作者: 下菊みこと


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ジェイドの強さ

使い魔には、魔力が使える。飼い主から与えられる魔力があれば、いくらでも。なので、魔法や魔術に適性がないアンリエットでも、ルロワ越しになら魔法を使える形となった。


しかし、アンリエットが天使であることに変わりはない。アンリエットの身体はそれだけ価値がある。


というわけで。


「アンリエット!爪と髪の毛の回収に来たぜ」


「ジェイド様、お待ちしておりました。約束のものです」


アンリエットは自身の髪と爪を切った分が入った瓶を差し出す。ジェイドはそれを見て喜んだ。


「おお…!これだけあれば研究が飛躍的に進む!ありがとうアンリエット!」


アンリエットを思わずぎゅっと抱きしめるジェイド。アンリエットは、滅多に経験のない異性からのハグに目を回す。


「あ、あう…」


「あ、ごめんごめん。アンリエット、大丈夫か?」


「は、はい…虚弱体質で申し訳ございません」


「いやいや、今のは俺が悪かった。ごめんな」


アンリエットが落ち着くまで背中をさするジェイド。後ろから、ジャンヌの突き刺すような視線は感じるが無視した。


「ところでアンリエット。お詫びと言ってはなんだが、これを受け取ってくれないか」


「これ…?…イヤリング、ですか?」


「ああ。もしよければ」


「ありがとうございます。でもどうして?」


「これな、天使の祝福っていう素敵な付与効果があるんだ」


ジェイドは得意げに語る。


「天使様はどうにも、虚弱体質の人が多くてな。でも、この天使の祝福の付与効果があれば少しは体質が改善されるらしい。手に入れるのはちょっと苦労するけどな。もらってくれるか?」


「え、そ、そんな貴重な物を…!?いけません!」


「いいんだ。俺が君にもらってほしくてわざわざ手に入れたんだから」


ジェイドのその言葉に、アンリエットは少し戸惑いつつも頷いた。


「そう仰ってくださるのなら…」


「じゃあ、耳を貸してくれ」


ジェイドはアンリエットの耳にイヤリングを装着する。心なしか、身体が軽くなったように感じるアンリエット。


「少し身体がいつもより楽に感じます」


「そうだろう?なんたってそのための祝福だからな!失われた聖域で取ってきた!」


「え!?」


失われた聖域とは、昔の聖都のことだ。今は国の中央に王都と聖都があるが、昔の聖都は国境付近にあった。しかし、度重なる戦争によって神が「血生臭いから遷都する」と言って今の形になった。


そして、失われた聖域は今は訳あって魔物の巣窟となっている。そこに踏み入るのは大変に危険だ。


「そんな顔するなよ、アンリエット。俺は強いから、あんな雑魚の相手くらい余裕だ」


魔物を雑魚呼ばわりするジェイドに目を丸くするアンリエット。魔物はものすごく強い。数人がかりでようやく倒せるのが普通だ。


だが、ジェイドは魔導の天才。攻撃魔法もそれはそれは得意なので、割と本気で魔物は雑魚扱いだった。


「それに、他にも遺物をいくつか収集できたしな!なかなか美味しい遠征だったぜ!」


「そ、そうですか…」


アンリエットは改めて、ジェイドの高い能力を知ることになった。


そしてジェイドは、いつものようにアンリエットの手をとり飴玉の雨を降らせた。


「アンリエットはどの味が気に入った?」


「いちごも好きなのですが、レモンがさっぱりして好きです」


「だろう?ふふん」


何故かドヤ顔のジェイドにアンリエットはくすくす笑う。


「じゃあ、また遊びに来るから。元気でいるんだぞ」


「はい、ジェイド様」


そして嵐は去っていった。

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