初めての吸血
「知らない天井だ」
朝、起きて部屋を出るそして階段を下りリビングに出るといい匂いがしたアンナさんが料理をしている
「アンナさんおはようございます」
「あぁシオンちゃん、おはよう。悪いんだけどマルタを起こして来て頂戴」
「解りました」
そう言うと降りた階段を登り僕の寝ていた部屋の手前の部屋をノックする
「マルタ、起きてる?」
返事が無いので扉を開け中に入る
ベッドには、布団を飛ばしたアンナが寝ていた
そんなアンナを見ていると急に視界が赤くなっていく
どうやらアンナの首筋から目が離せない
ドンドンと呼吸が荒くなる
血を吸いたいと感情をコントロールできなくなる
「ふみゅ、シオン?どうしたの?」
マルタが僕の気配を感じたのか起きた
「マルタごめん血を吸いたい」
少し考えたマルタは、あははと笑い良いよと首筋を差し出した
僕の理性の糸が切れたのかマルタの首筋に飛びつき八重歯を刺す
八重歯が刺さるとマルタは吐息を漏らす
そして、口の中に甘美な血の味が広がる
頭の中は痺れ何も考えられなくなるが5秒ほど飲み続けると一気に醒めて理性が戻り冷静になった
「マルタごめん。僕これじゃ化け物みたいだね」
「しょうがないよ。吸血姫なんだもん。それに気持ちよかったからまた吸いたくなったら言ってねシオン」
あっけらかんに笑うマルタに僕の気持ちは、少し軽くなった
そして当初の目的を思い出す
「シオンって何しに来たの?」
「アンナさんにマルタを起こして頼まれて」
「それで起こしに来たら私の寝姿に興奮したと」
「もう、からかわないでよ」
2人で部屋を出てリビングに向かうと朝食が4人分用意されていたのだった