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誕生
ここにずっといたい。
けどこのままではいけない。
目の前には、狭くて暗い道
怖くてたまらない
この道はどこまで続いているのか、、、
勇気を振り絞り
少し頭を入れてみた
苦しい! 怖い!
嫌だ!嫌だ嫌だ!無理だ!
そう思った瞬間
上から光が射し込んだ。
この暗い、狭い道をぬけなくとも
私は出口を見つけられた。
安心し、そして嬉しく
私は大声を出して泣いたのだ。
母は高齢出産だった。
子宮口がなかなか開かず
帝王切開で私は生まれた。
私の声を聞き
父は泣いた
泣く父を見て
兄は泣いた
まだ縫われていないお腹で両手を上げ
母は泣いた
負けじと
私も泣いた
幸せが始まるはずだった。
誰もがそう思っていた。