2-③
右頬がビンタをくらったら......殴り返せ!③
「ちなみに、今回はGPSが一切に公開しない。敵も味方も位置情報が分からない状態だから、最後まで隠し回ってもいいのよ~でも、このクラスにはそんな腰抜け、いないよね♥」
「ほかに質問ある人?」
「は~い先生、グループメンバーは?」薄い金髪が手を上げる。
「土曜の夜11時59分、個人モニターの状態欄で示す。自分のグループ分けしか示さないが、グループメンバーの所持ポイントはリアルタイムで更新するとこは見えるよ」
「先生~乱数で配ったリングということは、グループ全員1ポイントで、計5ポイントしかない場合もありますか?」
「そうよ~それもこの世界の『基礎』なので♥」
「『瞬時に』ってことは、死なない限り殺していいってことよな!」足はまた机の上に置いてた。
「そう、そいうこと!死なない限り我が校の医療センターで完治することができるので、心配ご無用」
「だってよ!お坊ちゃま!」殺気強く目線でノアを睨める。
「君のその足が切られても、完璧に治せるよ、試してみる?ウラディスラフ・シドロフくん♥」補足した沫言先生。
「だってよ、雑魚が」冷たい笑いだった。
「チッ」悪寒を感じ、素直に足を下ろしたウラディスラフだった。
「は~い質問~ペナルティはなんですか?」
「ひ・み・つ♥」目を細くし、口角を上げて愉快さうな顔だった。
その瞬間、学生達は普段とうってかわって、みんな同じ考えが頭をよぎった。
「「「絶対負けちゃだめなやつだぁぁー!!!」」」
「はい、質問はもうないかな?じゃ、授業始めるよ~学院共通システムで、社会人類学ユニット3をモニターで示してください」
『学生コード:1562812009。認証成功。必修科目:社会人類学。教師:沫言。ユニット3:ソーシャルネットワーク。インターネット機能:遮断。遮断成功。モニターを示します。』
(開けたよ、神奈ちゃん)
「は~授業ってだるいよな~」すっごく小さいな気音でAIくんと話してる。
(神奈ちゃん、始まったばっかりだよ)
「眠いっ」
「ソーシャルネットワークは、個人、グループ、組織、さらには社会全体間の関係を研究するために社会科学で役立つ理論的構成概念です。ネットワークが分類される可能性のある一般的なレベルには、ミクロレベル、メソレベル、マクロレベルの3つがあります。マイクロレベル-ミクロレベルでは……」
(え~昨日の夜無理やり寮を抜け出して、中央区までに行くからだよ)
「いや、あのバッカ王子がま~たシステムを壊そうとしたからだろ、その尻拭いで呼ばれたんだよ」
(大変だな~無視すればいいじゃん)
「……帰りにお前がいきなり、中央データ管理センターの実況をしてきたから、寝れないんだけどね」
「……その分析は、社会心理学、社会学、統計学、グラフ理論から生まれた本質的に学際的な学問分野で、「グループ所属の網」を強調する社会学の初期の構造理論を……」
(……バカ王子のベビーシッターも一苦労だね。が、世界一のハッカーちゃんさまを雇ったとも知らないのは、ベビーシッターさんも相当だな)
「無視かよ!まぁー木を隠すには森の中ってことだ」
(神奈ちゃん、スッゴイ~)
「夜月くん~先生が授業中なのよ♥」
『申し訳ございません!』カナが個人モニターを先生の前に飛ばして、文字を示した。恥ずかしくて机の下に潜るとこだった。
「はいはい、大丈夫だから、机の下に潜らない」
「「「ハハハハ」」」クラスの笑い声だった。
サリアナと黒いストッキングもカナに微笑ましい笑顔を向かった。もちろん、カナは気づかなかった。
(その先生、ヤバイな)
「……」
4番エリア 女子寮(1年生)
打ち放しコンクリートの外観。内装にはホログラフィーのレリーフが飾られ吹き抜けの広い空間。一階フロアには、学生同士の交流を楽しめるためのロビー、ホログラフィーが設置した遊戯室、お困りの時の管理者室などが揃っています。共通区域には生活のための設備、二人一室の部屋には個人区域、ユニットバスを設置されており、充実した魅力的な寮となっています。また、寮の周りはセンサー、カメラ、警備ロボが設置され、安全方面もバッチリ。
「どこがバッチリかよ」ニヤケた神奈。
(へへ、神奈さまが断トツに凄いからだよ)『 (*´▽`*) 』
108号室 表札には名前が一つしかない
(おかえり~神奈ちゃん♡)
「ただいま」
「おかえり、AIくん」
(ただいま♡)
二人一部屋のはずだが、人数の関係で一人で住んでいる神奈。外に出るたび、部屋に帰るたび、お互いそれを言うのが慣例となった。その部屋配置に、誰かと友達になりたい、自分の部屋でまで人と話たくない、という複雑な気持ちを持ってる神奈。その部屋配置に、満足してるAIくん。
教室 必修科目:社会人類学 授業が終わったすぐ
「え?またすぐ消えた~」サリアナが教室をキョロキョロ回って、残念そうな顔をしていた。