第2プログラム 右頬がビンタをくらったら......殴り返せ!①
第2プログラム 右頬がビンタをくらったら......殴り返せ!①
ジークムンド学院 4号校舎
外見から見れば校舎というよりお城や博物館に近い一点豪華主義。白い壁には工夫されたレリーフ、一階の開放廊下は植物で飾られたアーチ道、金色の線で窓や門の輪郭を描かれ。そして、実際に触らないとわからない、飾りはすべて立体映像であった。
「何でいちいち、建物の紹介をするのよ?見れば分かるだろ?」
(それは、読者の皆さんのためだよ~)
「だから、読者の皆さんってなんだよ」
(まぁーまぁー教室に入ろ♡)
教室 必修科目:社会人類学
弧線を描いた席が向かったのは、何もなく綺麗にペイントされた白壁。教室が階段状に徐々に上がった一番上の席に、マントを被ってる少女。日光が届かない隅っこに静かに座っていた。外から刺した明るい日光と対比して、手を伸ばせば太陽の下にいられるところ、影の中に静かに座っていた少女。絵のように綺麗で、切なかった。
(あん♡~痺れる~神奈ちゃんカワイイ♡)『 ♡\(*ˊᗜˋ*)/♡ 』
「…ごめん…ちょっとキッモ!」
(あっ、嫌がってる目もいいかも♡)
「…ウィルス食わせてやるよ」
(ごめん♡)
「また一人で端っこに座ってる」サリアナはグループを連れて、凛々と神奈を見下ろしてる。
「ハハ、本当だ、なんでいつもボチなんだろ?」ポニーテールが言った。
「かわいそう~」「もしもし、聴いてる?」手下ともが騒いてる。
「……」反応なし。
---端っこで悪いかよ、どこに座っろうが私の勝手だろ!大体、教室の席って自由だろ?お前らみたいにクラスの中心でぎゃーぎゃー騒いだり、グループでワイワイ言ったりなんてできないんだよ、こっちは!断じて、羨ましくないから!……まぁーちょっとくらい…羨ましいかな?……
「聞こえてないかもよ」黒いストッキングが言った。
「あ…あの…」サリアナがもう一度、大きめな声で訪ねた。
---それになんで、毎回毎回、同じ教室の時かまってくるのよ!?いや、断じて、かまってくるのを期待してないから!……まぁでも、ちょっとくらい…もう少しかまって欲しいかな?……ちょっとくらいは……
「返事ないね、どうする?サリアナ」黒いストッキングがサリアナの肩を組んで、茶化すように話した。
「なによ?返事くらいしてもいいじゃん?」なんかちょっと焦った感じで、もう一度話をかけた。
「……」相変わらずの無反応だった。
---いやいや!え?待って!?どう返事したらいいか分っかんないんだよ!?二言ぐらい自分勝手で喋ったら、すぐ去っていくじゃんそっちは!心の準備とか色々、少し時間くれよ~!てゆうかっ、簡単な返事できることを訊いてくれよ~!
「サリアナがうるさいとか思われてるんじゃない?」黒いストッキングが更に油を注いてる。
「ハハ、サリちゃんがウザがられてる~ウケる~」ポニーテールが両手を頭の後ろで組んで、笑いながら言った。
「サリアナ様に話をかけられて、うるさいなんて思える訳がないですよ、ね!サリアナ様」「そうそう、そんなことないですわ、サリアナ様!」手下ともが騒いてる。
「え?私、うるさい?」サリアナが石橋を叩いて渡るよう、神奈に訊いた。
---よ~しっ来た!簡単な返事できること~
『うるさくはないです』個人モニターの公開ページーで文字を示す。
「そっか」ホッとしたサリアナ。
突然、教室の外で女子がキャーキャーしてる黄色い声が、教室まで響いてきた。そして、声がますます近づいた。
「ニルソン様、これをどうぞ♡」「ニルソン様♡こっち向いて」「ノア様私と遊ばない♡」「ニルソン様ステキ♡」「ノア様一緒に遊ぼうよ♡」×∞
その中心にいるノア・ニルソン。何こともなくのように、それらをすべてシカトして、まるで自分しかいない静寂の世界にいるようで、教室に入った。
「はいはい~授業始まるよ~皆も早く自分の教室に帰って~」ノアのとなりにいる薄い金髪の男子が教室のドアの前に立ちはだかる。
「え~」×∞ 名残り惜しいそうな声だった。
「そんな顔出さないで、可愛い顔が台無しだ、俺で良ければ今度一緒に遊ぼ♡」
「キャー♡」×∞ また教室を響く黄色い声。
「ウッゼンだよ!どけ!」来者が廊下にあるロッカーを蹴破った。その声に驚かされて、空間が一瞬静まり返った。
「あ、ごめんなさい」「すみません」慌てて謝って去っていく子と…
「はあー何よ!」「ちょっと、何してんのよ」刃向かえる子…
そして、当然に皆、目つき一つで追い返された。
「きゃー乱暴もの♡」薄い金髪の男子がわざとらしく両手で胸を抱えた。
「チッ」教室に入って座ったら、自然に両足を机の上に置く。
「ハハハ、無視か」気にせず教室に入ってノアの隣に座った。
「なんなのよ、あの人、ちょっと礼儀を正してくる!」
「はいはい、待ってサリアナ、授業始まるから」行こうとしてるサリアナを抱きとめて「それより、よかったね、返事もらって」耳元で軽く話した。
「だから耳元で話さないで!」
「ハハ、顔真っ赤」
チャイムと同時に、光がついた教室。
「はい~みんな~、席ついて~重大発表よ~」派手な格好してる人が、先まで静まったこの空間を一瞬でざわつかせた。