2-④
右頬がビンタをくらったら......殴り返せ!④
「あら、本当だ。逃げ足は速いな」黒いストッキングがまたサリアナをからかってる。
「誰から逃げるのよ!」ふくれっ面。
「ひゃハハハ」やじうまを徹底してるポニーテール。
「今日は会話したのよ~」不満げに言い返せたサリアナ。
「ひゃハハ、いやいやいや、それ、会話のうちに入れる?」腹を抱えて、もっと笑った。
「もう、文字でも会話のうちだよ!」
「え~サリちゃんはかわいいな~、あれだな、あれ、好きな奴と交換日記するタイプだろ?サリちゃんは。ひゃハハ」
「ふっ、らしいよね」黒いストッキングが思わず笑っちゃった。
「二人とも!!」またふくれっ面。
「あ、ごめんごめん、違うよ、サリアナがカワイイと思ったからだよ」
「そもそも、交換日記ってなにが悪いよ!二人だけの秘密みたいっていいんじゃない!」
「ひゃハハハ~~~もう…無理…お腹痛い~」手でバンバンと叩いて、机に俯せ、息が詰まった。
「えーなによ~」
「ふっ、あんた、ふふっ、笑いすぎよ」自分も精一杯、我慢してたのに。
「ひゃハハ、それ、交換日記って、本当にやったことあんの?」笑いすぎて涙も出た。拭いてながら、訊いてた。
「当たり前だよ!」
「……」突然笑い止んだ黒いストッキング。まっすぐにサリアナを見つめた。「誰と?」静かに訊いてた。
「従姉妹と……小さい時……絵日記…」恥ずかしそうだ。
「ひゃハハハ、ヤッバ!あたし、ひゃハハ、笑い死ぬかも!ひゃハハ」
「もう~~~」
「じゃさじゃさー、ラブレターとか書いたこともあんの?」笑いネタを掴んだのように、訊き続けた。
「お母さまとお父さまに……」恥ずかしいと思いながら、素直に答えた。
「いや、違う違う、同い年のおどゴォ……」突然のビンタ、逃げ場なかった。
「え?なんで」悪姑にいじめられた信子さんみたいに、頬を撫でた。
「蚊が」とても、清々しい顔だ。
「大丈夫か?」驚かされたサリアナ。
教室のドアの前も賑やかだった。
「出ないならどけよ」無感情な声だった。
「今、出るとこだろうが!」真っ先で怒鳴り返った。
「じゃ、出てよ」
「指図すんな!てーめーに言われたから出たみたいになんだろが!」
「教室を出るだけだろう?ケンカすんなよ~」半分諦めた状態の薄い金髪だった。
「ケンカしてないつもりだが?」動じない。
「はあー俺だけが騒いてるとでも言いてぇかよ!?」ますますイラ立った。
「いちいち突っかかるなよ、雑魚」
「てーめー誰が雑魚か!はあー」ノアの襟を掴っで怒鳴った。
「雑魚って言って、反応するのが雑魚なのでは?」厳然な態度で相手を見下ろしてる。
「はあーほざけやがってっ!!」
「被害妄想?」片側だけ口角を上に引き、冷徹に笑った。
「二人とも冷静に!」薄い金髪がまた間に挟まれた。「ほらほら、手離して。ドアの前では他の子は出られないだろ?」
「ああーそうだな!グズ坊っちゃんが邪魔だよな!」
「今、ドアの前をはだかったのはお前だろが!」
「てーめー!今日こそ、そのしけったくそツラを剥がしてやる!!」
「チッ、声デカイんだよ」
「はあーなんだと!?コラー!?」
「『はあー』と『てーめー』しか言えないのか?雑魚じゃなく、脳筋だな」
「この野郎ォー!!!」
「トニーちゃんもう止めなくていいの?」女子が少し頭を右上にあげて、隣にいる薄い金髪に訊いてた。
「まぁー、俺一応止めたよ~」両手で隣にいる女の子達の肩を組んだ。
「ノア様大丈夫かしら?」もうひとりの女子が少し頭を左上にあげて、訊いてた。
「さっ、平気だろ?あの二人毎日のようにやって、まんざらでもないだろう~」もうすでに、周りのやじうましてる女子とイチャイチャしてる薄い金髪。
「トニーちゃん~他人こと~」他の女子も混ざってきた。
「え~あの二人のケンカからカワイイ君達を守ったげなきゃ♡」
「ノア様も強いだからきっと大丈夫だね~」またもうひとりの女子がイチャイチャグループに入った。
「「「ね~」」」なんでか薄い金髪も混ざってる。
「じゃ~トニーちゃん、一緒に遊ぼ~」薄い金髪の腕をぎゅっと抱きしめた女子。
「へーずるい~私と遊ぼ、トニーちゃん♡」体ごと薄い金髪に押し付けた女子。
「違う、次は私と遊ぶって約束したじゃん」薄い金髪の制服の一角を掴んで揺れ揺れする女子。
「だめだよ、トニーちゃんはみんなのトニーちゃんだから、抜け出しは反則」「うんうん、みんなのトニーちゃんだもん」「そうよそうよ~」新しいチャットルームを開けたように、こっちも騒ぎ出した。
「ハハ、皆一緒に遊ぼ~ケンカしないでね♡綺麗な顔が台無しになっちゃうよ~」口の前に置く人差し指、関節まで綺麗な細め。
「「「はい~」」」大人しくなった女子達。
「いい子♡」頭を傾け、微笑んだ。心まで溶けそうな笑顔。
「♡♡♡♡♡♡」
108号室
その光景を教室のカメラを通じて、ドラマ気分で見ている神奈とAIくん。
「カオスだな~あの教室…」一人で住んでるから、身軽で共通エリアのもふもふ絨毯でコロコロしてる神奈。
(ハハハ、愚かな人間ともよ~)『ψ(`∇´)ψ』
「ハハ~、AIくんラスボス感~」
(ほっほっほっ、大魔王AIくんとお呼び)一緒にじゃれたAIくん。
「ハハ、おー大魔王AIくん!やっぱ、授業終わってすぐ教室を出るのが一番だな~」
(カオスは見るのが楽しいよな~)
「な~!あ、今度はあっちだ、2カメに切り替えー!」
(はい!監督さまっ!)
「ハハハ~」楽しそう。
「あ、この二人いつもケンカしてるよね」
(ん~どれどれ?あ~嫌悪ってツラに書いてあったんのがノア・ニルソン。と、脳筋しか見えない奴がウラディスラフ・シドロフだな!)
「この二人、一緒の組にいたら、きっと面白いよな」
(ハハ、神奈ちゃん、それ、フラグだな!)『ヾ(@⌒―⌒@)ノ』
(組み分け、干渉しちゃう?)『(●´艸`)ムフフ』