表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
渋谷少女A―続編・山倉タクシー  作者: 多谷昇太
第二章 デュランス河のほとりで

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/45

チョコレート

まったくとんだ騒動になってしまったものだ。私はこの界隈では(と云うか何処でもそうだが)誰一人口を利く者もいない、プータロー然とした男だったので住民らに会釈ひとつしなかったのだが、今後は改めねばなるまい。こんな騒ぎを誘引してしまったのだから…。

山倉とビアクに支えられて小道を下りる途中、救急隊員2人が私を引き取った。その際「山倉さん、本当に申し訳ない。こんな迷惑を掛けてしまって…」「いいってこってすよ、田中さん。お互い明美ちゃんを救うことができた。男冥利に尽きるってもんだ」と会話を交わす。いつの間にか山倉も幼女の名を聞き知っていた。それもその筈、件の男が辺りに聞こえよがしに「営利誘拐だ!俺の娘を、明美を返してくれ!」と怒鳴りまくっていたからだ。私はその明美ちゃんが労しくてしょうがない。夕方来男は明美ちゃんに何かものを食べさせていたのだろうか?しまった、こんなことなら家を出る際にチョコレートなりを持ってくればよかった…などと思い、それらしきことを引き渡しの直前に山倉に口にする。すると山倉が「ある。ある。ちょうどある、チョコレートが。車に。食べさせておくよ、田中さん」と云ってくれ私は感謝の余りに「すいません。山倉さん。ありが…」と云い差したが救急隊員に促されて車上の人となった。まったく…私ってやつは幼女の親でも何でもないのに尽々思い入れがちな人間だと思いますよ(苦笑)。救急車の車内で隊員に打撲・傷の具合いなどを受け答えしながらも山倉が車内から持ち出したチョコレートを明美ちゃんにあげるのを窓から見ていた。明美ちゃんが一瞬でも微笑んだあとそれを夢中になって食べている。嬉しくなって思わず涙が滲んだ。栄子さん、山倉さん、ビアクさん、ごめんなさい。お手伝いができなくて。幾許もなく救急車のピーポーサイレンが鳴り出して私は現場から離れて行く。3人が手を振ってくれていた…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目次ページ下部
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ