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渋谷少女A―続編・山倉タクシー  作者: 多谷昇太
第一章 山倉タクシー
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蟻の街のマリア公園

 一段落がついたような気分というのはつまりその、踏ん切りがついたからだ。何の踏ん切りかと云うと、それはその…恥ずかしながら(かな?)云わせてもらうが、生活保護の申請が却下されたことで、今後の心構えが決まったということである。何せ手持ちの金が残り数万円で、身は69、無職…これでは生活保護を受けるしかあるまい…と人も思うだろう?私もそう思ったし、そう覚悟を決めたからこそこうして役所へ申請に行ったのだが、豈図らんや見事に却下されてしまった。却下理由は「まだ働ける年だから仕事を探して働け」というもので、生活保護承認の代わりにご親切にもハローワークから抜粋した求人票の何枚かを手渡してくれたものだった。その時の心境を大袈裟に云えば、五味川順平「人間の条件」ラストシーンで、家へ戻るために放浪中だった梶元上等兵がとある荷役現場にさしかかる、そこで饅頭を頬張りながら各荷役夫たちに荷を担がせていた男がいて、ほぼ心身喪失状態だった梶がその饅頭をくれとばかりに男に両手をさし伸べる。ところが…饅頭の代わりに男は身の詰まった重い麻袋を梶の背に背負わせた…。この如き心境を私は役所の窓口で味あわされたものである。真に自己責任論に徹した“温かい〟安倍内閣、就中その意を受けた役所の対応ではあった。申請承認の期待に憑かれていた為か、あるいは常日頃の超寝不足状態の反動が出たものか、その直後私は近くの隅田公園に行き、はからずもベンチの上で前後不覚の眠りに落ちてしまった。気が付けば夜になっていて、モサモサと起き出しては夜の巷に出て来たところである。この〝超寝不足状態〟ということに付いては特別にレクチャーせねばならないことがゴマンとあるのだが今は止めておく。とてもとても自己責任で十把一絡げにされてしまっては、絶対に肯んじ得ない特別な事情が私にはあったのだ。敢て一言で云えばエルム街の悪魔のごときチンピラヤクザどもの、理不尽極まるストーカー行為を、長、年に渡って私は被っていた。この被害を何度警察に訴えても取り合いもしない。

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