朝はいつもより騒がしく
「……んん?」
目を覚ますと、カーテンの向こうに朝日がすっかり昇っているのがわかる。どうやらあれ以降は何もなかった、と信じたい。ああ、何て夜だ。
ふと右手に目をやると、昨日の感触が蘇ってくる。
……ああ、まったく……何て夜だ。
すげえ、やっぱり夢じゃなかった。
ついあれこれ感慨にふけっていると
「おう、直登おはよう。どした、朝っぱらからニヤニヤして。そんなにアタシに寝起きで会えるのが」
「お、おはようございます!」
「いや、敬礼までしなくても……何だよ、そのちょっとやましいことがありますみたいなテンションは……」
「……いえ、なんでもないです」
「そっか。じゃあはやく着替えて降りてこいよ。朝メシ準備して待ってるから」
「えっ?あ、ありがとうございます!」
まさか朝食まで用意してくれるとは……ありがたいと申し訳ないで胸がいっぱいだ。
「いきなり泊めてもらった礼だからな。気にすんなよ」
夏希さんはそのまま部屋を出ていった。うお、かっけえ……いつか絶対に真似しよう。
そう決心していると、今度はコンコンと控えめなノックの音が聞こえてきた。何となく予想はついている。
「もしかして真冬ちゃん?」
「はい、入ってもいいですか?」
「いいよ」
ドアが開き、その隙間から真冬ちゃんが顔をのぞかせる。
「おはようございますお兄さん」
「おはよう」
真冬ちゃんの顔を見ると、顔がよく似ているからか、昨日のあれこれをより鮮明に思い出してしまう。
「お兄さん、どうしたんですか?そんなにじっと見て……私の顔に何かついてますか?もしかして惚れましたか?」
「い、いや、違うよ」
「どうしたんですか?そんなやましいことがあるような笑い方で……ん?」
俺そんなやましそうな顔してるのかー、と何ともいえない気持ちになっていると、真冬ちゃんが急に眉を顰めた。
「ど、どうしたの?」
その表情の変わりようにたじろいでいると、真冬ちゃんは無言で部屋に入ってきて、そのまま俺の胸に顔を埋めてきた。
「はあっ?ちょっ、ま、真冬ちゃん!?」
「くんくん、くんくん……この匂い……えっ?何で?」
「…………」
真冬ちゃんのこの反応の理由にすぐ思い当たり、俺は何故か血の気が引くような気分になった。いや、落ち着け。さすがにこっちが何も言わなければバレはしないだろう。
「お兄さん、今からする質問に正直に答えてくださいね」
「う、うん」
あ、これやばいやつ……
だが、そんなこちらの心情など気にせず彼女は顔を近づけてきた。
「お母さん来ました?」




