夜中
「ああ、エラい目にあった……」
あの後、3人揃って正座させられてしまった。まあ仕方ない。姉さんは姉さんだからな。
ちなみに夏希さんと真冬ちゃんは既にそれぞれの部屋に戻されていた。いやあ、今度こそ静かになった……なったよね?
ここで誰か侵入してるというベタな展開はないよな?ないか。姉さんはそういうのやらないだろうし、千秋ははやく寝るほうだし。
あれこれ考えていると、今度は本格的に眠気が訪れたので、俺はそのまま目を閉じた。
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「…………ん……直登くん」
「んん……ん?…………はあっ!?」
「静かに」
月明かりにぼんやり光る二つの瞳をこちらに向けながら、俺の声が外に漏れないようにしっかりと口元を小さな手で押さえているのは、何と……真冬ちゃんの母親だった。
「こんばんは」
「な、何でここにいるんですか?」
「真冬の様子が気になったからよ。親として」
「どうやって入ってきたんですか?」
「窓の鍵が空いてたわ。2階だからといって不用心ね」
「侵入者に言われたくないんですが……」
「真冬はどうしてるのかしら?」
「んん……まあ、色々思うところはあるでしょうけど、思ったよりは元気に振る舞ってます」
「そう、気を遣ってくれてありがとう。私が言うのもあれだけど」
「いや、俺は特に何もしてないです。どっちかというと夏希さんとかの方が真冬ちゃんといつもワイワイやってるというか……」
「あの、巨乳のヤンキーギャルの子?そう、良い子ね」
「良い子と言えば何でもチャラにできるわけじゃないですからね」
「まあ、それはさておき、真冬が元気なのはわかったから直登くんにお礼してから私は帰るわね」
「え、お礼?」
「そう、こんなおばさんので申し訳ないけど……」
ぶっちゃけ姉でも通る見た目なので「そんなことないですよ」と言いかけると、真冬ちゃんのお母さんは俺の手首をつかみ、そのまま俺の手のひらを自分の胸に押しつけた。
豊満なそれはただひたすらに柔らかく、俺の意識は……って……
「えええええっ!?」
「静かにして。皆が目を覚ますわ」
こっちは眠気が遥か彼方まで吹き飛んだんですけど!!!え、これどうすればいいの?指とか動かしちゃっていいの?などと悪魔が囁きかけたところで、真冬ちゃんのお母さんはするりと離れていった。
「じゃあもう帰るわね。ありがとう、直登くん」
「え、あ……」
まるで猫のような身のこなしで窓から去っていく真冬ちゃんのお母さん。誰かに見られたらどうするのか、なんて考えたが、要らぬ心配な気がした。
…………とりあえずトイレに行くか。話はそれからだ。




