ツーショット
「やっぱりすげえな」
「そうですね。本当にいい眺め」
清水の舞台からの眺めは、それはもう美しくて、あの二人ですらさっきまでのいがみ合いが嘘みたいに見入っていた。この隙に俺逃げられるんじゃね?あっ、帰れなくなるか。
「とりあえず記念写真でも撮りますか。お兄さん、いいですか?」
「あ、ああ、わかった」
いきなりのご指名に、慌てて真冬ちゃんの隣に行くと、何故かスマホを渡された。
「え?」
「かわいく撮ってくださいね」
「了解……」
うわ、恥ずかしいっ!勝手にツーショットお願いされたと勘違いしちゃったよ……。
女子が自分に手を振ってると勘違いして手を振ったら、後ろにいる友達に手を振ってるだけだった、みたいな恥ずかしさだ。特に相手が彼氏とかだった日には、舌を噛みきりたくなる気分になる。
今後は気をつけようと誓いながら、かわいらしくピースする真冬ちゃんの写真を撮ると、今度は強めに腕を引かれた。
「えっ?」
「もちろんお兄さんとも撮りますよ。ふふっ、焦りましたか?」
「っ!」
あれは確信犯だったのか!くそっ、まんまと騙されたよ!
「さあさあ、お兄さんはやく撮ってください」
「後で覚えてろよ……」
無理やり笑顔をつくりながら写真を撮ると、思ったよりも笑顔な自分が写っていて気恥ずかしい。
撮り終えると、真冬ちゃんは満足そうな表情を浮かべ、あれこれ携帯を弄っている。
……楽しんでいただけたなら良しとしようじゃないか。
「な、直登、あたしも写真撮ってくれないか?」
「えっ?ああ、はい……」
夏希さんのお願いに、慌てて隣に立つと、彼女は携帯を手渡してきた。
こ、これは、まさか……!
「その……できれば、それなりにかわいく撮ってくれ」
「っ!!」
なんてこった!さっきやらかしたばかりなのに、またやっちまったよ!
夏希さんはそうくるだろうと勝手に勘違いしてたよ、恥ずかしい!
内心のあれこれを誤魔化すように、手早く撮影を済ませると、ぐいっと腕を引かれた。
「よし、今度は一緒に撮るぞ」
「二人本当は仲良いんだろ!?そうなんだろ!?」
「……気にすんなよ!さあ、はやく撮らないと迷惑になるぞ!」
わかっててやってたんじゃねえか!
何故清水の舞台で女子二人から弄ばれなきゃならんのか。
残念な気分になりながら、笑顔を作ると、右肘に柔らかい感触がめっちゃ当たっている。しかも本人はあまり気にしていないのか、めっちゃ押しつけてくる。
…………しゃあねえ、許してやるか。
何はともあれ、騒がしくも楽しい写真撮影にはなったと思う。




