表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/72

バチバチ

「で、どこ行くんだ?」

「私達は清水寺に。お姉さんは熊本です」

「おう、わかった。……じゃねえよ!何で今から九州に行かなきゃならねえんだ!」

「ちっ」

「おい、舌打ちしたな、今!」


 喧嘩はやめて!さっきから通行人がチラ見してるから!俺まで巻き込まれて変な目で見られてダメージ受けちゃうから!


「とりあえず、時間がもったいないから行こうか。ね?」

「「…………」」


 ピタリと止まった二人は顔を見合わせた後、こちらを向いて頷いた。


 ********


 バスに揺られながら窓の外に目を向けると、いつもと違う景色にワクワクする。少しくらい写真を撮って、帰ったら姉さんと千秋に自慢してやろう。

 ちなみに、俺の隣には真冬ちゃんが座っている。夏希さんは後ろの座席だ。そのせいか、なんか圧みたいなのを感じる。


「お姉さん、さっきから睨まないでください。お兄さんと二人きりの気分が味わえません」

「いや、もう既に二人きりじゃねえんだよ。認めろよ」

「はぁ……空気が読めない人って嫌になりますよね。お兄さん」

「直登はそんなこと思わねえよ。な?」


 ……ダメだ。とても侘び錆びなど感じられない。悪寒と緊張感なら感じられるが。

 とにかく話を変えよう。


「そ、そういえば、夏希さんは京都に来たことあるんですか?」

「ん?ああ、中学の修学旅行以来だな」

「そして今回が最後の京都旅行なんですね」

「なんでだよ!まだ行くわ!あと一万回は行くわ!」


 さすがに多すぎでは……それもう住んだほうがいいよ。


「直登!例えに決まってんだろ!」

「俺の心の中読まれてるんですか!?」


 やばい。迂闊なことは考えられない。


「一万回って例えがもう馬鹿っぽいです」

「おい、さらっと馬鹿とか言ったな」


 よし、もう他人のフリをしておこう。ああ、いい景色だなぁ。まるで心が洗われるようだ。大学は近畿地方にするのもいいなあ。


「ママー、あれがシュラバっていうのー?」

「しっ、見ちゃいけません」


 どうやらそれも無理らしい。

 そんなこちらの心中を察してか、真冬ちゃんが肩をぽんぽんと叩いてきた。

 いや、半分くらいお前が原因だよ!


 ********


「あ、着きましたよ。お兄さん」

「おお、そうだね」

「ふぁぁ……」


 いつの間にか眠っていた夏希さんは大きな欠伸をしながら、ゆっくり座席を立ち上がった。

 何故かは知らないが、ただそれだけの動作がやけに艶かしく見えて、つい見とれてしまう。


「えいっ」

「っ!?」


 真冬ちゃんから尻をつねられた。

 これも何故かはわからない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ