姉の友達、降臨
改札を通り抜けると、予想外の人の多さに目を見開いてしまう。
話し声やアナウンスがごちゃ混ぜになった騒がしさも、何だか新鮮な気分だ。だが……
「……何故、京都?」
素直に疑問を口にすると、真冬ちゃんは振り返って得意気に笑った。
「京都って観光名所が多いんですよ」
「知っとるわ!中学の時に修学旅行で来たからな」
「お兄さん、修学旅行……楽しかったですか?」
「いや、そんな触れづらそうにしなくていいよ!?ちゃんと班の皆と仲良く色んなとこ回ったよ!」
「そうですか。まあ、そういうことにしておきましょう」
「…………」
うわ、頭はたいてやりたい。
だが、人混みの中で楽しそうに笑うその顔を見ていると、怒る気も失せるのだった。
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「それで、どこに行くの?」
「そうですねぇ。まずは駅の中をぶらぶらしませんか?」
「京都でいきなりか……まあいいけど。どこ行くかとか考えたいし」
とりあえず目についた喫茶店に入ると、少し混んではいたが、並ぶ必要もなく座れた。
注文をはやく済ませ、一息つくと、BGMがようやく耳に入ってくるようになった。
ジャズの穏やかな旋律が馴染んできたところで、俺は口を開いた。
「それで、ここに何かあるの?」
「そうですね。小学生の頃はよく来てました」
「……そっか」
「……ごめんなさい。またお兄さんを付き合わせてしまって」
「いや、いいよ。なんだかんだ京都まで来れたし」
「それもそうですね」
「おい」
「あははっ、冗談ですよ。でも私は嬉しいですよ。お兄さんと一緒に京都に来れて」
「アタシも嬉しいよ。こんなはやく見つけられて」
「うわっ!!」
馴染みのある声に目を向けると、薄笑いを浮かべた夏希さんが立っていた。
思わず大きな声を出してしまったせいで、店員や客の目がこちらに向いた。さらに「何あれ、修羅場?」「撮ろうぜ撮ろうぜ」とか聞こえてくる。やばい。
「あん?」
だが、夏希さんが一睨みすると、何事もなかったかのように、店内に静寂が戻った。さすがだ。店内にいるすべての人の防御力が下がった。もちろん俺もだ。うん、怖い。
いや、ただ一人例外がいた。
「お姉さん、ご苦労様です。ハウス!」
「いや、帰らねえよ!ハウスじゃねえよ!」
この子のメンタルの強さは本当に見習いたい。
夏希さんは反論しながら、俺の隣に腰を下ろした。
「あらら、お姉さんどうやって来たんですか?」
「走ってきた」
「「…………」」
「いや、嘘に決まってんだろ。一本後の新幹線で来たわ」
この人が言うとガチかと思うからやめてほしい。




