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姉の友達、降臨

 改札を通り抜けると、予想外の人の多さに目を見開いてしまう。

 話し声やアナウンスがごちゃ混ぜになった騒がしさも、何だか新鮮な気分だ。だが……


「……何故、京都?」


 素直に疑問を口にすると、真冬ちゃんは振り返って得意気に笑った。


「京都って観光名所が多いんですよ」

「知っとるわ!中学の時に修学旅行で来たからな」

「お兄さん、修学旅行……楽しかったですか?」

「いや、そんな触れづらそうにしなくていいよ!?ちゃんと班の皆と仲良く色んなとこ回ったよ!」

「そうですか。まあ、そういうことにしておきましょう」

「…………」


 うわ、頭はたいてやりたい。

 だが、人混みの中で楽しそうに笑うその顔を見ていると、怒る気も失せるのだった。


 ********


「それで、どこに行くの?」

「そうですねぇ。まずは駅の中をぶらぶらしませんか?」

「京都でいきなりか……まあいいけど。どこ行くかとか考えたいし」


 とりあえず目についた喫茶店に入ると、少し混んではいたが、並ぶ必要もなく座れた。

 注文をはやく済ませ、一息つくと、BGMがようやく耳に入ってくるようになった。

 ジャズの穏やかな旋律が馴染んできたところで、俺は口を開いた。


「それで、ここに何かあるの?」

「そうですね。小学生の頃はよく来てました」

「……そっか」

「……ごめんなさい。またお兄さんを付き合わせてしまって」

「いや、いいよ。なんだかんだ京都まで来れたし」

「それもそうですね」

「おい」

「あははっ、冗談ですよ。でも私は嬉しいですよ。お兄さんと一緒に京都に来れて」

「アタシも嬉しいよ。こんなはやく見つけられて」

「うわっ!!」


 馴染みのある声に目を向けると、薄笑いを浮かべた夏希さんが立っていた。

 思わず大きな声を出してしまったせいで、店員や客の目がこちらに向いた。さらに「何あれ、修羅場?」「撮ろうぜ撮ろうぜ」とか聞こえてくる。やばい。


「あん?」


 だが、夏希さんが一睨みすると、何事もなかったかのように、店内に静寂が戻った。さすがだ。店内にいるすべての人の防御力が下がった。もちろん俺もだ。うん、怖い。

 いや、ただ一人例外がいた。


「お姉さん、ご苦労様です。ハウス!」

「いや、帰らねえよ!ハウスじゃねえよ!」


 この子のメンタルの強さは本当に見習いたい。

 夏希さんは反論しながら、俺の隣に腰を下ろした。


「あらら、お姉さんどうやって来たんですか?」

「走ってきた」

「「…………」」

「いや、嘘に決まってんだろ。一本後の新幹線で来たわ」


 この人が言うとガチかと思うからやめてほしい。

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