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妹の友達と、その母親はなんだかんだ仲が良さそう

「ごめんなさいね、直登君。本当は、この前真冬が泊めていただいたお礼をしようと思って、お邪魔させていただいたんだけど、ついはしゃいじゃって……」

「そ、そうですか……」


 ついはしゃいじゃって、こんな状況になるのか。すげえな、この人……。

 かなり衝撃的な目覚めだったが、ようやく思考回路が追いついてきた。

 今はもちろん下りてもらっている。真冬ちゃんも、真冬ちゃんのお母さんも、俺の前で正座していた。別にやれとは言ってないんだけど……。


「まあまあ、お兄さん。どうか落ち着いてください。今回の事は私が全部仕組んだので」

「だろうね。そこは1ミリも疑っていないよ」


 他に誰がいるというのだろうか。あと、まあまあじゃねえよ。


「ほら、退屈で寂しいお兄さんの日常に新しい風を、と思いまして」

「うん。もう間に合ってるよ。誰かさんと誰かさんのお陰で、ここ最近は退屈が恋しいくらいだから」

「それはさておき、お兄さんは今日は暇ですよね」

「さておくな。あと暇だと決めつけるな」

「だってお兄さん……彼女はいないし、それに友達も少ないし」

「おい。彼女がいないのは事実だが、友達少ないは余計だろ。テキトーな事を言わないように」

「ち、ち、違うんですか!?」

「驚きすぎだろ!ちゃんと友達と会話してるシーンもあるわ!」

「……ちなみに、今日の予定は?」

「……………………何もないけど」

「じゃあ、一緒に出かけませんか?今日は両手に花ですよ。ほらほら」

「…………」


 落ち着け、俺。一人は妹の友達で、もう一人はその母親だ。この状況を両手に花というのは無理が……いや、そうでもないな。

 とはいえ、妹の友達とその母親と出かけるって、どんな状況なんだろう。ちょっとよくわかんないんですけど……。

 すると、真冬ちゃんのお母さんが、すっと立ち上がり、ベッドに腰かける俺の隣に、同じように腰を下ろした。ベッドのスプリングが、ぎしぎし音を立てるのが、やけに大きく響いた。

 そして、至近距離からこちらを見上げてくる。え、なになに?あなたの娘、すぐそこにいるんですけど……!

 思わず見とれてしまうような大人の美貌に、はっと息を呑んでいると、目の前の艶やかな唇が、そっと言葉を紡いだ


「……直登君、行きましょう」

「は、はい……」


 何故だろう、この人には逆らえる気がまったくしない。この辺りは血筋だろうか。

 視界の端では、真冬ちゃんが蠱惑的な笑みを浮かべていた。

 ……え、何?俺、今からどんな目に遭うの?


 *******


 結局外出する羽目になってしまった。現在、真冬ちゃんのお母さんの運転する車で、俺はどこかへ連れていかれている。ここではない、どこかへ心焦がす余裕もないままに。

 千秋を代わりに行かせようとしたが、朝早くから部活があるらしく、既に家にはいなかった。姉さんも今日は予定があるらしい……最近、なんか忙しそうなんだよな。


「そういえばお兄さん、最近あのオバサ……おばさんはお元気ですか?」

「いや、言い直してないよね?カタカナがヒラガナになっただけだよね?てか、もしかして夏希さんの事?まあ、普通に元気だけど」

「ちっ」

「露骨な舌打ちしたっ!もう黒い部分隠す気ねえな、この子!」

「真冬、はしたないわよ。私だって、あの人の浮気相手への舌打ちは、誰にも見えない所でするわ」

「さらっと重い話題入れないでくださいよ!」


 くっ、大人だからって油断してたぜ……まさか、この人もボケるキャラとは。まあ、真冬ちゃんのお母さんだから、ある意味予定どおりなのかもしれんが。


「あら、ごめんなさい。私ったら、真冬のお友達の前で……まあ、あまり気にしないでくれると助かるわ」

「難易度高めだけど頑張りますよ」

「ところで、直登君。ウチの真冬とはどこまでいったのかしら?」

「駅前のデパートまでです」

「そう……それじゃあ、今後はどこまでいく予定なのかしら」

「……せいぜい隣町の喫茶店ぐらいですかね」

「逃げたわね」

「逃げてますね」

「…………」


 べ、別に逃げたわけじゃねえし、ただ質問に答えただけだし。

 隣に目を向けると、真冬ちゃんがやたら楽しそうにクスクス笑っていた。 


 *******


 しばらくの間、個性的な会話をしながら流れる景色を楽しんでいると、すぐそばの歩道に見間違えようのない派手な金髪を見つけた。そして、その周りにいるのが、彼女の妹達だとすぐにわかった。

 さらに、たまたまでしかないだろうけど、ばっちり目が合う。


「「…………」」


 この時、今日はさらに騒がしくなるような、確信にも近い予感がしたのは何故だろうか。


 




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