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ええ、ゲームを始めるの?

 しばらくすると、本を物色し終えた真冬ちゃんが、テレビの下にあるゲーム機を指差した。


「ねえ、お兄さん。このゲームで勝負しませんか?」

「勝負?」

「そうです。勝負です。さらに、勝ったほうが負けたほうに一つ命令できるというのはどうでしょう?」

「あっ、ずりいぞ!そんなのアタシも参加するに決まってんだろ!」

「え?え……?」


 おかしい。そんな賭けを承諾したつもりはないんだが、既に勝負が始まろうとしている。ゲーム機を常にセットしていたのが仇となったのだろうか。

 ……まあいい。この二人相手なら、どのゲームでも負けることはないだろう。


「それじゃあ、どれやりますか?」


 なので、どれをやるかくらいは選ばせることにした。


 *******


 正直ゲームを決めるだけでも揉めて、それでなんだかんだ賭けが流れることを期待したのだが、そうは問屋が卸さなかった。

 なんと二人ともレーシングゲームを同時に選んだ。本当に、何でこんな時ばかり……実は誰かが仕込んでるんじゃないかと室内を見回しても、もちろん誰もいなかった。

 ……ま、まあいい。俺が勝てばいいだけの話なんだから。

 ゲーム機に三人分のコントローラーを挿し込み、起動させる。

 すると、左肩……というか、左半身に柔らかな感触が密着してきた。


「っ!」

「お、悪い。こうしないとテレビ見れないからな」


 なんと、水瀬さんがぴったりと体をくっつけてきていた。甘い香りが漂うのと同時に、少し左下に視線を落とすと、キャラの割には豊満な膨らみが、制服越しにわかる。

 すると、似たような感触が右側からもやってきた。


「ごめんなさい。以下同文」


 台詞を省略しながら、真冬ちゃんもピタリと距離を詰めてくる。

 今度は、砂糖菓子のような甘い香りが鼻腔をくすぐり、小動物のような小さな体が押し付けられ、庇護欲をそそられる。

 そして、今になって気づいた。

 そもそも、俺の部屋のテレビはそれほど大きくない。しかも、ゲームをする時は一人だ。一応コントローラーを揃えてはいるが、千秋以外とはあまりゲームをしたことがない。

 なので、この状況は完全に想定の範囲外である。


「よしっ、やり方わかんねえけど、さっさと始めようぜ」

「ふふふ、手加減はしませんよ、お姉さん。せいぜいコントローラーを壊さないように注意してくださいね」

「こんぐらい余裕だっての。そっちこそ吠え面かいて泣くんじゃねえぞ。アタシはどんな勝負にも手は抜かねえんだからな」

「は?」

「あ?」


 二人のバチバチした空気が気にならないくらい、左右からの感触は、脳内を支配していた。


 *******


 テキトーにキャラクターを選び、初心者用コースを選択すると、二人からの密着度は上がり、最早俺を押し潰そうとしてるんじゃないかという気分になる。まあ柔らかいけど。

 やがて、審判っぽいキャラがスタートの合図を出し始めた。3、2、1……


「「ああっ!!」」

「…………」


 わかりやすすぎるミス。二人のキャラクターは、エンストを起こし、いきなり出遅れてしまう。

 ちなみに、俺は普通にスタートした。本当はロケットスタートしたかったんだけど、久々にやったからなぁ……。

 そんな感じで、始まったレースだが……


「ぐぬぬ……」

「むむむ……」


 なんだかゲームを楽しむというより、形を変えた喧嘩にしか見えないんだよなぁ。あとくっつきずぎ……姉の友達と妹の友達がやたらくっついてくるんだが……。

 二人は順位など気にせず、互いを蹴落とす事のみに意識を集中しながら、一週目を終えた。そ、そんなゲームじゃないんだけどな。ほら、アイテムボックスとか気にしようよ。

 しかも、何が悔しいかって、地味に順位を上げてきているところだ。このキャラクター達は、車にニトロでも積んでいるのだろうか。

 どちらもニトロ級の要注意人物なのは間違いないけど。いや、今はレースに集中しよう。

 なんか徐々に上手くなってはいるが……まだまだだね。小技も使えないし、アイテムボックスをガン無視している。つまり、俺有利。

 とりあえず、画ビョウなどのトラップアイテムをしかけながら、トップ集団をキープしていると、左右の二人はさらに白熱し始めた。


「あ、おい。お前、アタシの前に地雷を……このっ」

「むむっ、お姉さんこそ、ブーメランを……ていっ」


 やたら物騒な武器での応酬も激しいが、何よりも密着度がもう限界突破だ。オセロならうっかりTSしちゃうレベル。水瀬さんの胸がちょくちょく肘に当たるし、水瀬さんに話しかける真冬ちゃんの吐息が首筋にかかる。

 やばいやばいやばい!!ぶっちゃけレースになぞ集中できない。この二人は俺を聖人とでもおもっているのだろうか。

 結果として、俺は3位でレースを終了した。あんな妨害に遭いながら、この順位なら本望だろう。それより……。


「まさか、お前と同じ順位とはな。同率1位なんて。次は負けねえ」

「はい。こっちこそ次は負けません。単独1位を目指します」


 おい、いつの間に抜かれたんだよ。納得いかねえ~~~!!!!





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