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未読スルーは無罪ですか?

 校門前での出来事から三日間。

 俺の学校生活に、特に大きな変化はなかった。

 まあ、あの出来事を見ていたのは、あの場にいた生徒だけ。別に全校生徒が見ていたわけではないし、早めにあの場を離れたのがよかったのだろう。

 ……無論、無傷ではないが。


「なあなあ。お前さ、本当にどっちとも付き合ってないの?」

「またかよ。お前、その質問何回目だよ……」


 大杉が、また同じ質問をしてきた。どうやらあの時、こいつも後ろの方で見ていたらしい。ちなみに、どちらも知り合いではないが、存在は知っていたとか。

 相手するのも面倒なので、テキトーにあしらっていると、ポケットの中で携帯が震えだした。

 ……まさか、噂をすれば影じゃなかろうな。

 嫌な予感がしたので、気づかないふりをすることにした。

 そしたら、あと三回くらい同じ事が起こった。


 *******


「こんにちは、お兄さん」

「…………こんにちは」


 帰り道、家まであと少しという所で、真冬ちゃんと出くわした。

 彼女は、今日も穏やかそうな笑顔で、先日の黒さなど微塵も見せなかった。今のところは……。


「ふふっ、そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。今日はちーちゃんに勉強を教えに来ただけです」

「いや、警戒とかは……ただ、この前みたいなちょっとアレな雰囲気だったらどうしようと思っただけで……」

「それは警戒してるのでは……それよりも今日はあのおばさ……お姉さんは一緒じゃないんですか?」

「…………」


 す、すげえな、この子……度胸ありすぎだろ。まあ、この前睨み合ってた頃から思ってたけど。俺だったら速攻で目を逸らして謝ってた。

 しかし、ぱっと見は本当に穏やかで心優しい純粋無垢な美少女なんだが……。

 そうしていると、真冬ちゃんがモジモジと身をよじりだした。


「あ、あの……いきなりそんな見つめられると恥ずかしい、です…」

「あっ、ご、ごめん!」


 いかん。無遠慮に見すぎた。相手は女子中学生だということを忘れちゃいけない。

 かぶりを振って気を取り直すと、頬に微かに朱が差した真冬ちゃんは、くすくす笑いながら隣に並んできた。どうやら照れ半分、からかい半分らしい。

 こういうところだけ年相応なのは卑怯な気がする。


「じゃあ、行きましょうか。お兄さん。メールをスルーした理由も聞きたいですし」

「……既読スルーじゃなくて未読スルーだから問題ない」

「ただのヘリクツです。さ、行きましょう」

「…………」


 俺は溜め息を吐いてから、ゆっくり歩き始めた。


 *******


 真冬ちゃんの追及をかわしながら歩いていると、あっという間に家まで辿り着いていた。よかった……これで逃げられる。

 玄関の扉を開けると、ちょうど千秋がリビングから出てきた。


「ただいまー」

「おー、兄貴おかえりー……ふゆっち!?どうしてまた兄貴と!?」

「さっきそこで偶然会ったんだよ。ふふっ」

「それならいいけど。本当に気をつけてよね。兄貴はほんとにスケベなんだから。この前だって、ベッドの奥にエロ本を……」

「おい。テキトーな事を言うな。あれはエロ本じゃなくて、ただの写真集だ。やましい事など何もない」

「やましい事がないなら何で隠すのさ?」

「……散らかした物はちゃんと片付けとけよ。あとこの前貸した百円早く返せよ」

「あっ、逃げやがった!しかも捨て台詞がせこい!エロ兄貴!」

「ふふっ。ダメだよ、ちーちゃん。お兄さんにそんなこと言っちゃ。男の人なんだから、そういうのは仕方ないよ?」

「ふゆっちったら、心広ーい。ほんと優しいなー。可愛いなー。天使だなー」


 そう言いながら、よしよしと真冬ちゃんの頭を撫でる千秋。まあ、真冬ちゃんと大して身長変わらないけどな。何ならこの2、3年で真冬ちゃんのが高くなりそうな気がする。ドンマイ、千秋。


「な、何だよ、兄貴……そんな哀れむような目で見て……」

「いや、なんでもない」

「……はっ!そうか!胸のサイズか!?胸のサイズなんだなっ!?たしかにふゆっちは中学生ながら脱いだらすごいけど!」

「いや、違う違う!何言ってんだ、お前!?」

「ち、ちーちゃん、そういう事大声で言わないで!」 


 真冬ちゃんは胸元を隠しながら、千秋を叱りつけた。これはさすがに恥ずかしいらしい。

 そして、こちらにも視線を向けてきた。


「……わ、忘れてください。ね?」

「あ、ああ、忘れる」


 ううん、忘れない。

 真冬ちゃんと自分に堅い約束をして、俺は自分の部屋に行った。


 *******


「ふぅ……」

「どうしたの、夏希ちゃん?最近よくぼーっとしてるけど」

「ん?そうか……いや、自分でもよくわかんないんだけどな」

「そっかぁ、じゃあ気が向いたらでいいから、言いたくなったら言ってね?」

「おう、サンキュー」

「どういたしまして。あれ?千秋ちゃんからメール来てる。えっと……『今日、ふゆっちが遊びに来てる』。そっかぁ、じゃあ晩御飯は張り切っちゃおうかな」

「ほう……」

「どしたの?」

「美春、今日お前んち行ってもいいか?」

「いいけど……何でそんな獲物を前にした肉食動物みたいな目をしてるの?なんか怖いよ?」

「おっと、悪い。ただ、今お前んちに行かなきゃ一生後悔すると思っただけだ」

「今度はなんか重いよ!?」


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