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壊滅

「何のこと?全く意味が分からないんだけど?」


 シルベアはとぼけているのか、真顔でアルに問いかける。

 それに対し、アルは


「とぼけたって無駄っすよ。なんてったって心を読みましたからね。」

「はぁ、あんたの能力ほんとチートね。

 でもあたしは神じゃないわよ。」


 シルベアは言う。

「だってそれは私が時々思ってるだけだから。」

「な、なんですと~!サトリの思わぬ弱点発見っすね!思ってるだけでも読み取ってしまうとは」

「まぁ、アルがポジティブに捉えるんならいいけど、あたしは神じゃないわ。

 残念ね」

「でも、そりゃそうっすよね~。あたしも神が本気で人類滅亡を目論んでたら流石にひくっすもん。」

「昔の神はそれをしたけどね。」


 などと二人が雑談していると、まず、医者を呼びに走っていた兵士が倒れた。

 そこからは、怒涛の展開を見せ、兵士の周りの人たちも倒れていく。


「おっと、ここからは私たちも危ないっすね~。

 逃げましょうっす」



 次の瞬間、二人は、王都から五十キロほど離れたカイロジ町の路地裏にいた。


「結構殺傷能力高かったわね。驚いたわ。」


 シルベアは顔をにこやかに微笑ませながら言う。

 それもそのはず、あの疫病の名は『テクリプス』といい、罹ったら最後。死ぬまで十分もかからないという超凶悪ウイルスだったのだから。

 もはや、ウイルスと呼んでいいのかさえ分からない。

 なんにせよ、もうジョネル王国の王都は壊滅しただろう。


「アル、あなた使えるわね。良かったら一緒にユートピア作りを手伝ってくれないかしら?」

「いいっすよ。どっちにしろ、人類は皆殺しにしたいっすし。」


 こうしてシルベアは王都一個と引き換えに旅の仲間を得たのだった.






 _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _




 人類滅亡の為に旅をすることにした二人は、まず情報のすり合わせをすることにした。


「それで、アル。あなた、現在の世界情勢とか分かる?」

「いいえっす。ていうか、私、人間を殺したいっていう殺害欲求しかないっすし。

 シルベアさんはどうなんっすか?」

「私も同じようなもんよ。まぁ、辛うじて国の場所ぐらいは分かるかな。

 それぐらいしか必要なかったし。」

「そうっすよね」


 二人そろって話にならなかった。

 だが、さすがに地図くらい持っておいた方がいいのではないか。という話に落ち着き、国の冒険者ギルドに地図を買いに行くとする。

 因みに二人とも殺した相手からお金などは奪っており、シルベアの方が位が高い相手を殺していたため所持金は多い。

 これからは奪った金は山分けとなるが。



 冒険者ギルド『星の門』ではむさいおっさんが受付をしていた。


「おっと、嬢ちゃんたち、どうした?依頼かい?受注かい?」

「いやいや、ちょっと世界地図を買いたくてっすね~。」


 口が達者そうなアルが要望を伝えると、


「おぉ、世界一周旅でもすんのかい?頑張れよ!

 そういえばよう、なんか王都が壊滅したらしいぜ。まだ民衆には広まってないけどな。」


 などと言いながら、ちゃんと売ってくれた。

 そのままこの町での用事は済んだと判断した二人は町を出たところで『テクリプス』を流して去って行った。





 世界地図で瞬間移動が一瞬になった二人が言った場所は、『世界の貯蓄場』と呼ばれている「エルロ大貯蓄場」であった。


「ほぉぉ、近くで見ると滅茶苦茶でかいっすね~。」


 アルが目の前の建物を見ながら言う。

 それもそのはずで、その建物は東京にある日本一のタワーを太くしたようなものだったのだから初めて見る者が驚いても不思議はない。

 次の瞬間シルベアは驚きの行動に出る。

 なんと『ヘルファイア』と言う呪文で貯蓄場を燃やしにかかったのだ。

 隣にいるアルはひやひやものである。

 何故なら、


(ちょ、なんで憤怒持ちの人がマジックホルダーなんすか。しかも『ヘルファイア』って火属性最高魔法っすよ。

 さらにこれで決まるとは思ってないっていうね。もう笑っちゃうっすよ。)


 マジックホルダ―とはこの世界では一億人に一人と言われており、いま現在は十一人しかいない。

 十一人と言う人数は神の信託によって判明するのでシルベアはその十一人の中の一人なのだろう。

 なんともやばい奴が人類滅亡を志したものである。


 シルベアの心を読んだアルの思った通り貯蓄場はまだ立っており、内部の人間と見回り兵を溶かすにとどまった。


「後は中で『ヘルファイア』を使うだけだわ。さぁ行きましょ。」


 そういうとシルベアは水の最上級魔法『タイダルウェイブ』で冷却し、中に入っていく。

 アルはと言うと、


(こりゃ確かに、心が読めたところで足手まといにしかならないっすね)


 と、苦笑を漏らすのみであった。




 中に入ると焦げた物の匂いが鼻を突き思わず顔をゆがめてしまう。


(これはきついっすね~。まぁ、人間は骨の芯まで溶けてくれたから死臭はしなくてありがたいっすけど。)


 しかし、シルベアはにおいなど意にも介さず進んでいき、中心まで行くと極大威力の『ヘルファイア』を放つ。




 この日、人類は貯蓄場と言うある種の要を失うことになったのだが、一国の急な崩壊などの混乱の中

 この知らせを知ることができたものはいなかった。



















三話目にして一国が崩壊するという展開に。

やばい、結構早く終わるかもしれませぬ!!

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