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偕成はレイチェルと共に国王の下に向かった。
「あ、ちなみに国王もこの件に関してはすべて知っておられます。」
と思い出したかのようにレイチェルが言った。
「そりゃあ、国王も知ってなきゃまずいでしょ、、」
偕成はわかりきったことを言うなと言わんばかりの返事をする。
しばらくして王国の入り口の前に来た。高さ30メートルはありそうな壁が聳え立っている。
「ひぇぇえぇ、でっけぇぇえぇなぁ」
偕成は感嘆を漏らす。偕成は少し興奮して、声が裏返った。
「これで敵国からの侵入を防いでいます。」
とそんなことを気にもせず、レイチェルは付け加えてきた。すると、門番の兵士たちが
「お帰りなさいませ。レイチェル妃。」
「そちらの方は?」
一人の門番が偕成のことについて聞いてくる。
「私のお友達です。お気になさらずに。」とさらっとかわす。そんなうまく会話を終わらせるレイチェルに偕成は見入ってしまう。門番たちはレイチェルに軽いお辞儀をすると偕成の方にもしてくれた。慌てて偕成もお辞儀をする。社交辞令だろうか。
特に会話もないまま国王がいるという王城に着いた。
「これが王城かぁ」
またもや偕成は感嘆を漏らす。それは偕成が想像していた城よりもうんと大きかった。
「さぁ、国王様がお待ちです。」
レイチェルは優しく微笑んで勧めてきた。この笑顔にドキッとしていることに偕成はまだ気が付かない。
王城に入ると
「お帰りなさいませ。レイチェル様。」
と数人のメイドが出迎えてくれた。
「ええ、ただいま。こちらの方は私のお友達で、お客様です。」
とまたもさらっと偕成のことを触れさせないように会話を終わらせる。
「承知しました」
メイドの返事は不気味なほどにそろっていた。道中は一言も喋らなかった。というか、話しかけれなかった。
国王の部屋の前まで来た。偕成は内心不安でしょうがない。しかし、
「大丈夫です。私がいます。安心してください。」
とレイチェルの励ましを受け偕成は心を落ち着かせる。
「よし、行こう」
と言って扉を開けた。
国王は目の前に座っていた。そして、
「きみが猫太郎くんだね、待っていたよ。私がこの国の国王のトリアス・スカーレットだ。まぁ、掛けたまえ」
と優しく微笑んで腰を休めるように勧めてくる。
「お初にお目にかかります、国王様。わたくし猫太郎またの名を御堂偕成になんの御用でございましょう」
と片膝をついてしゃがむ、最高の敬意を表す姿勢だ。
「そんなに硬くならなくていいのだよ」
と笑って話してくれる。
「君が凄腕の軍師だとレイチェルから聞いておっての」
「いえいえ、それほどの者ではございません。」
と自分を下げる。
「ですが、必ず、この国の力になることを誓います。」
と強気に出てみる。
「はっはっは、気に入った!君、御堂偕成を王国の軍師として正式に迎え入れよう」
そしてこの日の会談が終わり、レイチェルに自分の部屋を案内してもらうことになった。
「いやぁ~うまくいってよかった~。レイチェル、ありがとね」
「いえいえ、私はなにもしていません。全て偕成様の独力です。」
「俺も正式にこの国の軍師になったわけだから、『様』はなしにしようぜ」
と突然の軽々しい提案に驚きつつも
「わかりました、偕成。これからよろしくお願いします。」
と快く受け入れてくれたレイチェル。
自分の部屋の案内と王城の案内が一通り終わった後、一人ベッドに横になっていると急に恥ずかしくなってきた。偕成は最初何が原因かわからなかったが、すぐに気が付いた。レイチェルに好意を抱いていることに。正式な就任式は明後日。そして、明日はいろいろな人にあいさつ回りをしなければならない。
さぁ、明日から忙しい毎日の始まりだ。気を取り直していこう!
はじめましての方ははじめまして!yamachanです!
今回は初作品ということで張り切って二日連続で更新してみました!
これからはゆっくりまったり投稿していきます!