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欠番戦闘員の戦記  作者: yamaki
第3章 三代ラボ
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9. 因縁の相手


 ガーディアンの戦士である白木と土留は、謎の欠番戦闘員と呼ばれる人物と共に戦場を駆けていた。

 彼らの目的は、ガーディアン東日本基地に侵略するリベリオンの撃退である。

 そのために白木たちはリベリオンの指揮系統を潰すため、指揮官が居ると思わしき場所に向かっているのだ。

 どういう訳か指揮官の居場所に心当たりがあるらしい欠番戦闘員の先導で、白木たちは両組織が激しくぶつかる危険な戦場の中心部へと近づいていた。

 そして中心部へ近づくほど怪人との遭遇率は上昇し、彼らの障害となる怪人たちが何体も襲い掛かってきたのだ。

 白木たちに取って幸運なことに、今回の作戦ではリベリオン側は戦闘員を殆ど連れて来ていないようであった。

 恐らくリベリオンはガーディアンに作戦を察知される可能性を減らすため、数が居なければ戦力にならない戦闘員たちを外したのだろう。

 作戦に参加する者は作戦直前まで基地周辺で潜んでいなければならず、その数が多ければ多いほどガーディアンに事前に気付かれる可能性は高くなる。

 戦闘員と言えども数が多ければ排除が面倒になるので、先を急ぐは白木たちに取って都合が良い展開と言えた。

 

「ぐはぁっ!?」

「うげぇぇぇっ!!」


 現れた怪人たちは欠番戦闘員の手によって全て一蹴され、彼らが足を止める時間は殆ど無かった。

 何の特殊能力を使わず、肉体能力の性能のみで怪人を倒す欠番戦闘員の実力は圧倒的だった。

 バトルスーツを使うことで人間を超えた力を手に入れたガーディアンの戦士でさえ、怪人を倒すには並大抵ではない。

 しかし、欠番戦闘員は白木の常識を嘲笑うかのように、簡単にリベリオンの怪人を倒してしまうのだ。

 頑丈な怪人を一撃で戦闘不能にするその力は、白木たちと同じようにバトルスーツを着ているにも関わらず、どちらかと言えば怪人の近いものを感じさせた。

 白木は間近で見る欠番戦闘員の姿に畏怖の感情さえ覚えていた。


「すげぇ…」


 何時も憎まれ口を絶やさない土留も、欠番戦闘員の異常な性能に圧倒されたのか言葉数が少なくなっていた。

 重装甲を活かした近接戦闘を得手としている土留から見て、欠番戦闘員の動きは正直に言って荒さが目立った。

 しかし欠番戦闘員には戦闘の拙さを補って余りある力が有り、怪人を上回るその力が全てを覆しているのだ。

 自信家である土留には珍しいことだが、戦闘者としての冷静な自分が欠番戦闘員と己との戦力差がかけ離れている事と認めてしまっていた。


「ソロソロダ」

「おう…」


 欠番戦闘員の脅威の戦闘力によって、白木たちはリベリオンの指揮官が居ると思わしき場所まで辿り着くこうとしていた。











「!? 危ないっ!!」

「うわっ、何だ!?」


 突然、白木が叫び声を上げながら土留の背後の空間に剣を振るう。

 自身から数センチしか離れていない空間に刃物が振り下ろされた事に、土留は当然のように驚いて背後を振り向く。

 するとそこには地面に崩れ落ちている、白木によって落とされた奇妙な昆虫の死骸があるでは無いか。

 どうやら白木は、土留がこの昆虫に襲われそうになっていた所を救ったようだ。


「これは…、蜂か? えらくデカイな…」

「マサカ…」

「この大蜂には見覚えがある。 忘れたくても忘れられない…」


 地面に転がる昆虫、通常の何倍もの大きさに見える蜂の死骸の姿を見た白木の顔色が突如一変する。

 何か激しい怒りを押し留めているような鋭い目つきで、忌々しげに蜂の死骸をにらみ始める。

 

「あら、よく避けたわね…。 流石にこれで死んでくれるほど甘くは無いか…」

「やはりお前か…、クィンビー!!」


 そして白木たちの前に、一人の女怪人が姿を見せた。

 全身が黄色と黒の斑模様が浮かび、背中に羽らしきものが折り畳まれ、その瞳には昆虫特有の複眼が備わっている。

 明らかに蜂をベースにしたと思われる女怪人の周囲には、先ほど白木が倒した大蜂たちが浮かんでいた。

 クィンビー、それが今回の基地侵攻作戦の指揮官の一人として派遣された女怪人の名である。

 白木は現れた因縁の怪人、かつての戦いで黒羽をリミッター解除にまで追い込んだクィンビーの登場に激しい怒りを覚えていた。






「あんたもしつこいわねー、そんなにあの自爆女の敵討ちをしたいの?」

「クィンビー!!」


 かつて白木はリベリオン基地の侵攻作戦時にクィンビーと相対し、惜しくも取り逃がすと言う失態を演じていた。

 今度こそは自分の手でクィンビーを倒そうと、白木はクィンビーに向かって駆け出した。


「マテ」

「!? 邪魔をするな!!」


 しかし白木の突撃は欠番戦闘員によって強引に止められてしまう。

 無理やり腕を捕まれた白木は、何時もの爽やかなイメージが微塵も無い血気に逸った表情で欠番戦闘員に食って掛かる。

 すると次の瞬間、欠番戦闘員が止めなければ白木が通っていたであろう空間で、いきなり爆発が起きたで無いか。


「なっ…」

「ほうっ、勘がいい奴が居るな…」


 何も無い空間が突如爆発したことに白木は驚きの声をあげる。

 そして爆発のあった空間から何処からとも無く声が聞こえてきて、やがてその場所に一体の怪人が姿を見せた。

 それは今回のガーディアン東日本基地の侵攻作戦に一役買ったカメレオン型怪人、ステレオンだった。

 どうやらステレオンは自慢の擬態能力を駆使して、邪魔なガーディアンの戦士を消そうと狙っていたようである。


「な、何であの怪人が居ることが解ったんだ?」

「ナントナクダ…。 姿ヲ消ス奴ノ相手ハ、慣レッコダカラナ…」

「その姿、お前が噂の欠番戦闘員とやらか…、リザドとの因縁は聞いているぞ…」


 ステレオンは折角の奇襲を台無しにした存在が、あの欠番戦闘員だと言うことを知り、面白げに笑みを浮かべた。

 欠番戦闘員の名はリベリオン内でも知られていた、特に四体もの怪人を一度に倒した△△の戦いを機にその警戒度は一気に上昇している。

 そして欠番戦闘員が一時期、周囲の背景と同化して姿を隠す擬態能力を持つリザドと幾多の戦いを繰り広げていたことはステレオンの耳にも入っていた。

 恐らくその時の経験値によって、リザドに近い能力を持つステレオンの奇襲を察知したのだろう。

 

「だが俺様をリザドなどと一緒にして貰っては困る。

 俺はリザドの…、ひいては今は亡き天才科学者セブンの技術を発展させた、最新鋭の怪人なのだ!!」


 幾多の特殊能力を有する怪人リザド、その怪人はガーディアンのリベリオン侵攻時に惜しくも無くなったセブンと呼ばれる研究者によって生み出された。

 ステレオンはセブンが残したリザドの研究データを元に、ガーディアンへの復讐戦である今回の基地侵攻作戦を念頭に置いて生み出された怪人なのである。

 そしてステレオンはリベリオンの想定通りに見事に役割を果たし、今は指揮官の一人としてリベリオンの怪人たちの指揮を執っていた。











「俺はリザドのようにはいかんぞ、勝負だ! 欠番戦闘員!!」


 ステレオンは自身の力を試すために、かつてリザドを一蹴した欠番戦闘員に戦いを挑む。

 長い舌を威嚇するように伸ばしながら、ステレオンは一直線に欠番戦闘員の方へ向かっていった。


「ちょっと待ちなさい!? 私はその戦闘員に用が…」

「お前の相手は俺だ…」

「一応、俺も同期だしな…。 敵討ちをさせてもらうぜ、怪人!!」

「くっ…、邪魔よ、あんたたち!!」


 一方、侵攻作戦の指揮官の片割れであるクィンビーは、どういう訳からステレオンを静止する声を掛ける。

 どうやらこの女怪人は自分が欠番戦闘員と戦いたいようで、ステレオンに先を越されたことに不満らしい。

 しかし同期の黒羽を再起不能にした原因であるクィンビーを、白木と土留が放っておく訳が無かった。

 二人のガーディアンの戦士たちに邪魔をされたクィンビーは、苛立たしげに大蜂を放って白木たちを迎え撃った。


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