第一話:幼馴染(おさななじに)
感情なんていらない。
「誕生日オメデトー!」
僕の名前は[通り火 普羅々]。
今日で19歳。
「・・・・・・・・。」
「ありがとうぐらい言ってよ…」
「…ありがとう…」
「どういたしまして。」
「普羅々も19歳か〜」
「ところで帰っていい?愛」
「・・・・・。」
彼女の名前は[片桐 愛]。
僕の幼馴染。
「嫌よ。私を悲しませた罰としてお茶買ってきて。」
「…ハイハイ…」
「私、緑茶ね。」
「・・・・・。」
バタンッ
「水で我慢しろよ…」
でも、愛に頼まれると断れない。
僕は愛に甘いのだろうか。
「自販機でいいよな…」
近くに自販機発見。
チャリンチャリン
ピッ
ガタンッ
「世界は進歩してんだな…」
自販機を見ると思う。
「…早く帰らなきゃ愛に怒られる…」
ガタンッ
「愛…買ってきたぞ…」
・・・・・・・・・。
「? 愛?」
「返事ぐらい…」
「っ…!?」
「愛っ!おい愛っ!」
僕は愛の口に耳を傾けた。
「息をしてない…!」
僕は時計を見た。
僕がお茶を買いに行ったのは午後六時十五分。
帰ってきたのが六時十九分。
この四分間で何が…
「…その前に警察に…」
ピッピッピッ
「はい。警察です。」
「死んでいます。」
「…は?…」
「僕の幼馴染が死んでいます。」
「住所は?」
「――――――――です。」
「分かりました。すぐ駆けつけます。」
プッ
ドスン
僕はその場に尻餅をついた。
トクントクン
鼓動が高鳴る。
心臓が破裂しそうなくらい。
「人が死ぬのはこんなに呆気無いものなんだな…」
もっと精神的なダメージがあるものだと思っていた。
・・・・・・・。
「大丈夫ですかっ!」
「・・・・・・・。」
警察の人は僕の様子をうかがった。
「今日は帰りなさい。明日話を聞きます。」
「…はい…」
「私の名前は[奈留奈 涙]と、言います。
「もしもの為にコレを渡しておきます。」
涙さんが渡してきたものは自分の携帯の番号だった。
「はい。」
バタンッ
僕は家に帰った。
明日の何が起こるか分からずに…。
あなたは人に頼まれて断れないタイプですか?
私はそうです。
お人好しはあまり、いいものじゃありません。
気をつけましょう。