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レイと魔法と奇妙な日常  作者: 沖田 了
第1章 はじまり
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第一話 魔法の勉強

 夢を見ていた。


 宮殿のような建物のベランダに立っている。


 下を見ると、自分の目を疑った。


 とてつもなく広い庭が広がっていたのだ。僕の村の半分はすっぽりと収まってしまうかのような、そんな庭だった。


 だが、驚いたのは庭の広さではない。そのだだっ広い庭を埋め尽くす、民衆の群れだ。


 数万人は要るだろうその民衆の群れを見ていると、肩をたたかれた。


 振り返ると、そこには…。



 メガネをかけた、オッサンがいた。



「コラ、起きろ。せっかく魔法教えてやってんだから寝るんじゃない。

 今日はお前しか居ないんだからしっかり話を聞け。」


 そう言ったのは、30代後半~40代前半の男性。

 メガネを掛け、フード付きの長いの真っ黒なコートを着ていた。裾が床に付きそうなくらい長い。


「うぅぅ。せっかく良いとこだったのに。」


 と、机に突っ伏して寝ていた男の子が、恨みがましく、さっきの男性を睨んでいる。

 まだ顔に幼げが残る15~16歳の男の子。

 メガネは掛けていない。格好は、さっきの男性とほぼ同じ。違いと言えば色が少し薄く、茶色が混ざっていることぐらい。


 どうやら、二人は師匠と弟子のようだ。


 小さな山小屋のような所で、話をしている。

 小さな黒板と教卓、机と椅子が一つづつあり、男の子が机に座り、男性が教卓の前に立って黒板に何か書きながら説明していた。

 さながら学校の教室のようだ。

 男性は、机の前まで歩いていくと。


「何逆ギレしてんだよ」


 と、言って男の子の頭を平手打ちにした。


「イテッ、いきなり叩くのはやめてくれよ。」


「何えらそうに言ってんだ。お前は弟子なんだから師匠の私に口答えするな。

 レイは本当そういうところがダメだぞ。」


 男性は、怒ったように両手を腰に当てて言った。


「今更師匠ぶられてもな。正直言ってジンってお兄さんって感じで、師匠って感じじゃないんだよな

 小さな頃からずっと一緒にいるし。」


 どうやら、机で寝ていた男の子がレイという名前で、師匠らしき男性がジンというようだ。

 レイは開き直ったように言った。


「ったく、師匠を呼び捨てにするなんて。

 ほんと、いい性格してるよお前。」


「お褒めに預かり光栄です。」


「誉めてないよ。」


 レイ立ち上がり、ひざを突いて大袈裟に頭を下げたので、ジンはその右足をレイの前頭部めがけて蹴り上げた。


「イッ……。」


 頭部への衝撃に悶絶し、床を転げ回るレイ。


「はいはい、冗談はこれくらいにして早く席に着け。」


 ジンは何事もなかったかのように、教卓の所まで戻っていた。


「冗談で弟子の頭蹴るか、普通。

 そんなんだから、師匠として尊敬出来ないって言ってんだよ。」


 そう言って席に着いたレイの頭には、あれだけ痛がっていたのが嘘のように、傷一つなかった。


「お前も、その痛がってるフリいい加減止めろ。治癒魔法使えばあんな攻撃何でもないだろ。」


「何でもなくねぇよ。

 僕の治癒魔法は、傷を無くすことは出きるけど、攻撃を受けたときの痛みは消せないんだよ。」


「あ、そうだったっけ。忘れてたよ、すまんすまん。」


 と、悪びれる風もなくジンが謝った。


「ったく、魔法使いのくせにムダに直接打撃が強いんだから。」


 と、こちらもそんなに怒ってはいないようだ。二人にとってはこんなこと日常茶飯事なのだろう。


「魔法使いだからって、基本的な体力作りを怠ってはいけないんだ。

 だからこの三年間、魔法の指導のほかに、基礎体力作りも教えてやったんだぞ。

 大体、近頃の若い魔法使いは、だな」


「もうその話は止めてくれ。

 耳にたこが何個できたか分からないぐらい聞いたよ。」


 と、レイはジンが話すのを止めた。

 よほどこの話を聞くのが嫌なのか、両耳を手で塞いでジンを睨んでいる。


「そう怒るなよ、私はお前のことを思って話をしいるんだから。」


「それは分かってるけど今更そんな基礎的なことを言わなくてもいいよ。

 ジンの教えならちゃんと覚えてるから。」


「本当か、お前の覚えてる、は信用ならないからなぁ。

 何回教えても頭から抜け落ちてるしな。

 バカな訳じゃないんだから、うっかり忘れるってことを無くせばもっと良くなるんだから。」


「それを言われると痛いんだけど…。

 まぁ、大丈夫だって」


 レイは気まずそうに言った。


「ったく」


 ジンは仕方ないなと呟くと教卓の上に置いてあった本を開いた

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