11
20字改行
式場へ入ると、泣き声がいくつも聞こえて
くる。お経とか色々な事は終わり、今は花を
棺桶に入れるところ。何とか間に合った。由
希のそばまで行くと、おばさんが私に気づい
た様で、横に来る。写真を花と一緒に何枚か
入れても平気かと聞くと、どうぞ、と泣いて
しまいそうだけど優しい声で言った。由希は
真っ白な百合の花に囲まれて眠っている。顔
もても着ているものも全てが白くて、そこだ
けは雪がかかっている様に見える。四枚。今
日撮った写真を丁寧に並べて入れる。赤や黄
色の紅葉たちは白に囲まれた中で確かな存在
感を出している。もう一枚、サイフの中から
名刺サイズの写真を取り出す。ヒマワリの中
の、私達。それを由希の顔の左側に置く。写
真の中の笑っている由希と目の前の無表情な
由希の顔は対照的で、悲しくなる。つー。由
希の頬に一筋、涙が流れる。ポタッ。つー。
ポタッ。ポタッ。由希の顔にいくつも落ち、
流れる私の涙。由希の顔が霞む。ぼやける。
由希の顔を見たい、涙と止めたいと思うのに
止まらない。どんどん沢山いっぱい溢れてく
る涙。口に入る。しょっぱい。悲しくて寂し
くてつらい。でも、あたたかい。抑えられな
い、声と涙。もう止まらない、思い。由希、
今までアリガトウ。私は楽しかった。幸せだ
ったよ。由希もそうだったら嬉しいな。
「由希、バイバイ・・・。」