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「トゥルルル・・・トゥルルル・・・トゥルルル。」
我が家に響いた電話の呼び出し音は、私に別
れの悲しみを告げるものだった。
由希が、事故に合い死んだ。電話で由希の
母親から告げられたのは、私の大親友の由希
の訃報であり、「病院まで来てほしい。」とい
うことだった。バスを使い、病院の受け付け
を通っても、まだそのことを現実として受け
入れることが出来なかった。でも、もうこっ
ちを見ることの出来ない由希の青白く艶のな
い顔を見た瞬間に
(ああ、ほんとうに、ゆきは・・・)
と実感した。人間は悲しすぎると涙を流すこ
とすら出来ないの?周りが、見えない。由希
の顔が、無表情が、開かない口が、私にこれ
からの永遠の別れを示している様で。その時
の私には何も考えられず、ただただ悲しくて
寂しくてつらいだけだった。