怪談
ここから先要注意です
廃病院の中央にある広間は、かつて待合室だったのだろうか。埃まみれのベンチがいくつか並び、窓ガラスは割れ、風が不気味な音を立てて吹き抜けている。メンバーたちは広間の真ん中に集まり、持っていた懐中電灯を床に置いて、輪になって座った。
「じゃあ、気を取り直して、怪談話でも始めようか」
企画を立てた女性が、無理に明るい声を出した。誰も反対せず、タケシが話し始めた。彼は、どこにでもある「トイレの花子さん」の話を語った。ありきたりな怪談話は、メンバーたちの緊張を少しずつ和らげていく。
だが、話のクライマックス、タケシは急に立ち上がると、人差し指をユカに向け、大きな声で叫んだ。
「その花子さんの正体は……おまえダーッ!」
タケシのわざとらしい芝居に、みんなは「キャーッ!」と悲鳴をあげ、笑い声を響かせた。ユカはただ、無表情にタケシを見つめていた。
タケシのわざとらしい芝居が終わると、メンバーたちの笑い声が廃病院に響いた。だが、ユカは無表情なまま、タケシをじっと見つめている。
「じゃあ、次はユカさんの番ですね!」と、企画を立てた女性がユカに話を振った。
ユカは少し顔を曇らせ、言葉を濁す。
「私…は、ちょっと…」
「いやー、ここは一つとっておきのを話してくださいよ!」タケシが嬉しそうに言う。「なんかユカさん、すごい話持ってそうだし、なんかこう、なんていうかそういう雰囲気出してる感じっすよね」
その言葉に、ユカはゆっくりとタケシの方を向いた。彼女の瞳には、タケシの知っているどの感情とも違う、冷たい光が宿っていた。
ユカは、タケシの軽口に何も言わず、ただまっすぐに見つめ返した。その瞳の冷たさに、タケシは思わず笑みをひきつらせた。
「じゃあ、話すわよ」
ユカの声は、先ほどまでの淡々とした口調とは違い、どこか冷たく、乾いていた。
「だけど、これだけは最初に言っておくわ。この話を聞いた人は、消えることになるんだけど…いい?」
その言葉に、他のメンバーたちはゾッとした。しかし、タケシはわざとらしい笑顔で恐怖を演じて見せる。
「こわっ! ユカさん、その演技完璧ですね!」
タケシの言葉に、ユカは構わず話を続ける。
「あなたたち、ユーチューバーのひとみって知ってる? この話を、あのこに話したの。それから、あの子、いなくなったのよ」
その名前に、タケシはすぐに反応した。
「あー、あのひとみチャンネルの! 確かに半年前から全然配信してないな。どうしたのかなって、まさか…ね?」
タケシは笑いながら、ユカの冗談につきあっているつもりだった。だが、ユカの表情は変わらない。彼女はただ、次の言葉を待つかのように、じっとタケシを見つめていた。
読んでくれてありがとう
これから先
グロいので嫌いな人はもうやめて
読みたい人は自己責任で!
ではまた次回
評価よろしくお願いします。




