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銀髪の美しい少女は意外と腹黒い

目の前で呑気に飯を食べる俺をニート生活から引き摺りだそうとする神剣改め堕神剣

こいつをなんとかしないと俺の快適な生活が消え去ってしまう。


「なあ、お前が俺のスキルなのは分かったからとりあえず1回帰ってほしいんだが」



そう、とりあえず目の前の堕神剣を1回帰してしまえば後はなんとかしてもう出てこれないようにすれば問題は解決する。

だが、そんな期待は直ぐに打ち砕かれる。



「え、それは無理ですよ?1度神剣としてこの世に生まれた以上はずっとマスターと一緒にいますから」



「ハァ? いやいや、そんなの困るんだが?」


「これも神剣使いの運命です!神剣ですよ!聖剣とかよりよっぽど強いのに何が不満なんですか!」



確かに神剣というだけで強いのはわかるがニートの俺にはなんの恩恵にもならない力だ。

むしろ神剣作り出すスキルなんて物を持っているなんてバレたら色んな所から目をつけられてロクなことにならないのは明らかだ



「ハァ…俺は今の生活が気に入ってるんだよ。そりゃダンジョンで戦うならいいかもしれないが俺は絶対そんなのごめんだからな」


「そんなに嫌なんですか?私を使えばダンジョンで即活躍できてきっと人気になれますよ?」


「そういうのが嫌なんだよ、そもそも人気になんてなる必要ないし命の危険がある中で働く気になんてなれるか!」


「嫌です!!!絶対マスターとダンジョンで戦いたいです!」



目の前で駄々をこねるもはや神剣としての威厳なんてない堕神剣を見て頭痛がしてくる。

だが、なんと言われようと、何をされても俺は絶対にダンジョンになんて行く気は無い。

むしろ俺なんかが行ったところでリスクしかないのだ。



「あのなぁ、確かにお前を使えばモンスターなんて簡単に倒せて人気になれるかもしれないがそもそも戦う理由がないんだよ。」


「理由ですか?」



そう、色んなことを考えてはいるが結局のところそれが1番行きたくない原因だ。

ダンジョンに行く人の理由は様々だ。

一攫千金を狙って高価なダンジョン食材や魔道具なんかを狙う人、ダンジョン配信で人気者になりたい人、単純にダンジョン食材で美味しいものを食べるための人など皆理由があってダンジョンに行っている。

俺のような特に理由がない中でダンジョンに行くのはそういった人達に失礼だし、理由がない中で行っても危険なだけだ。

それ以前にこのまま死ぬまでニート生活を続けるだけのお金はあるのにわざわざリスクがある選択をする意味もない。

そんなことを堕神剣に説明してみる。

俺の考えを聞いたあと堕神剣は何かを考えているようだ。

何故かは分からないがとてつもなく嫌な予感がする。



「マスターが行きたがらない理由は分かりました、」


「おお!分かってくれたか!」



よかった…これでなんとかニート生活存続できる…

ひと安心して後は目の前の堕神剣をどうにかしよう考えると堕神剣は笑顔で笑っている。

銀髪の美しい髪と整った顔でとても綺麗に感じる。

だが、それと同時にとてつもなく嫌な笑顔にも感じる。


「どうしてもマスターがダンジョンに行ってくれないなら私にも考えがあります。」


「ん?まさか実力行使する気か!?」


「いえいえ、マスターにそんなことするわけないじゃないですか、ただこのままマスターがダンジョンに一緒に行ってくれないなら私このまま外にでて色んなこと叫んじゃうかも知れません。」


「待て待て、何を言ってるんだ!?」


「そうしたら警察呼ばれちゃうかもしれませんね、今のマスターだと私をスキルだと警察に話したところで信じてもらえるでしょうか?」



この神剣タチが悪い…

親の遺産でニート生活をしている俺と目の前の銀髪で非常に顔の整った少女、確かに世間一般的にはかなりやばい絵面だ。

その上で外で叫ばれたら間違いなく通報されるだろう。

この神剣の見た目の良さもあり間違いなくネットで拡散されて俺の快適なニート生活は終わりを告げるだろう。

だが要求にしたがってダンジョンに行ってもニート生活は終わる。

どっちにしろ俺の快適なニート生活は終わるしかないのか!?


「さあ、マスターどうします?叫ばれて警察を呼ばれて終わるか、この『堕神剣』を使ってダンジョンに行くか好きな方を選んでください♡」



あ、これ堕神剣なんて名前付けたの根に持ってるな

明らかに名前を言った時の声に怒りを感じる。

悪魔のような二択の選択肢をだしてくる堕神剣に変な名前を付けたのを後悔しながら実質一択しかない選択肢を選ぶ。


「ダンジョンに行かせていただきます…」


「マスターならそう言ってくれると信じてましたよ。では早速行きましょうか!」


「はい、よろしくお願いします…」


そうして俺の快適ニート生活は終わりを告げ、目の前の神剣と共にダンジョンに行く日々が始まるのがわかった。


「あ、ちなみに私のことを堕神剣なんて呼んだらどうなるか分かってますね?名前は変えられないですがせめてあだ名とかで呼んでください!」


あだ名か…

これ以上堕神剣の機嫌を損ねるのは避けたいのでなんとかして無難なあだ名を考える。


「じゃあダンちゃんでどうでしょうか?」


「まあ、堕神剣よりは遥かにマシなので良いでしょう。

では改めましてこれからよろしくお願いしますねマスター。」



そう言って最初の頃のような笑顔になる堕神剣ことダンちゃんだが笑顔の裏の腹黒さに恐怖を覚えながら家を出る。

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