新たなスキル
「で、私の攻撃なんかどうにかなるとか言って意識失った感想はどう?」
「はい……すいませんでした……」
意識を失った俺はポーションをぶっかけられ強制的に目を覚ました。これまでにない力を出したことで調子に乗ってしまったがすぐさま愛によってそれを粉々に砕かれ自分が如何に弱いか自覚することになった。
「まあいいわ、修行の成果はちゃんと出てたみたいだし」
「ああ、これまでにないほどにオーラを引き出せた、まあその分調子に乗ってすぐにお前に叩きのめされたんだけどな」
「それでいいのよ、自分の力を過信した状態でダンジョンに行ったら格上のモンスターにあってすぐに殺されちゃうもの」
たしかに愛に止められなければ間違いなく俺は調子に乗っただろう。そしてそのまま無茶な戦いをしていつかモンスターに殺されるだろう。
そう思うとここで止めてくれたことに感謝をするべきなんだろうな。
「それじゃあ一番最初の目標でもあった『聖鎧』を習得しましょうか」
「ああ、そんなこと言ってたな。でも実際どうやるんだ?」
「さっきオーラも出して身にまとってたでしょ?あれをより圧縮して密度を高めるのよ。そうするとオーラが鎧に変化するからそれで完成よ」
「なるほどさっきと同じようにね」
愛の助言に従い先程と同じようにオーラをだし身に纏う。
オーラを押し潰すように体の周りに固定しようとするがなかなか上手くいかない。
ギチギチと音がしたと思った瞬間オーラは弾けそのまま俺の体は吹き飛んだ。
「いったぁ!?何が起こったんだ?」
「オーラを圧縮しすぎたのよ、そのせいで限界を迎えて弾けたんだわ」
「その圧縮てのがよくわからないんだよな、どうしたらいいんだ?」
「マスター!なら『神眼』スキルを使うのはどうですか?今のマスターの力ならスキルを使って愛さんの『聖鎧』を纏う姿を見せてもらえばコツを掴むことが出来ると思います!」
「へぇーそんなスキルがあるのね、ならもう一度見せるからスキルを使ってちゃんと見るのよ」
その言葉に従い『神眼』を発動させる。目の前で愛が『聖鎧』を使うのを見つめる。聖剣からオーラが愛の身体を包み込む。周りに広がっていたオーラはゆっくりと身体の周りに徐々に纏まっていく。纏まったオーラは白い鎧へと姿を変え始めしばらくすると純白の鎧が愛の身体を包み込んでいた。
「どう?かなりゆっくりやってみたけど」
「ああ、なんとなくだがわかった気がする」
「ならさっそくやってみなさい」
先程と見た光景と同じようにオーラを出し身体の周りに広げていく。ゆっくりゆっくり確実にオーラを自分の周りに留めるようにする。ほんの少しずつだがオーラが鎧の形を成してくる。先程とは違いゆっくりオーラを押し潰すようにしていくとそのまま姿を変えていく。
「よし!いい感じよ!」
「マスター頑張ってください!」
焦り集中力が切れようとする中で2人の声が聞こえる。
ここまで修行に付き合ってくれた2人の為にも期待に応えようとする。
身体にはハッキリと鎧と分かる物が装備されていくのを感じる。
最後の仕上げとばかりにオーラを圧縮すると鎧は完成した。
「へぇーそれが白夜の『聖鎧』か」
「マスターやりましたね!」
2人の声によって現実に戻される。自分の体を見ると愛と同じように純白の鎧を身にまとっている自分の姿がそこにはあった。
「これが『聖鎧』か」
「ええ、ちゃんと完成したみたいね。これなら30階層までいけると思うわよ。」
「これでも30階層なのか?」
「まだ神剣力を完全に引き出せていないしそもそも『聖鎧』も一応できたとはいえ密度もまあまあだからもっと修行すれば深層でも大丈夫よ」
「深層てなんですか?」
「ああ、ダンちゃんは知らないのね。ダンジョンは基本的に下に潜って行くんだけど35階層から下は地獄と言われているわ。これまで世界的にいくつかのダンジョンの35階層より下ににたどり着いた報告によればどこもそこから先が強さのレベルが桁違いに上がるみたいなのよ、それで35階層からは深層と呼ばれて冒険者の中でもトップの人しか入らないようにしてるの」
「そんなにやばいのか?」
「ええ、私も36階層まで行ったけど本当に危なかったわ。モンスター1匹1匹の強さもそうだけど物凄い高温地帯になったり極寒になったり毒が溢れるようになったり階層そのものが行く手を阻むようになってるの」
「なるほどな、配信だとそこら辺は見たことがないから分からなかったな」
「それはそうよ、まずカメラなんて構える余裕ないしそもそもカメラ自体が耐えきれなくて壊れるもの」
なんかいろいろと大変なんだな、たしかに俺たちが使ってるカメラもそんな所でやってもすぐ壊されそうだしな。
「まあそんなことはどうでもいいわ、さっさと修行の続きよ!」
「また斬り合いか?」
「まずは『聖鎧』をよりもっと早く発動できるように繰り返しやりましょ。圧縮ももっとやって密度を高めないといけないし、それが安定したら斬り合いね!」
「マスター、私も協力しますから頑張りましょうね!」




