神剣改め堕神剣
ブラック企業が問題となっているの世の中
そんな問題の中でも生きていく為には働いてお金を稼がなくてはいけない為に過酷な労働に励んで安い給料で使い潰される人で溢れている。
だか、この俺、福島白夜はそんな中でも敢えて言ってやろう!
「ニート生活最高!!!」
皆が働く中、親の遺産のお陰で働かなくてもいいだけのお金を手にした俺はそんなことを叫ぶ。
『働いたら負け』
この言葉を作った人に是非とも賞賛をあげたい。わざわざお金があるのに働くのはバカのやることである。
過去にずっと引きこもってる俺を注意してくれた友人などもいたが、俺がそんなことを言っていたらいつの日か皆離れていったが後悔はしていない。
そんな元友人達も今は立派な社畜となり、社会に貢献しているのだろう。
だが、そんな彼らの生涯年収でも俺の貯金を越えられないのだから世の中腐っているし、わざわざそんな中で働く理由もない。
そんな、友人無し、彼女なし、引きこもりニートの俺が毎日楽しみにしているのがダンジョン配信である。
20年ほど前突如として現れたダンジョンによって世界は急激に変わっていった。
ダンジョン内でとれる魔石や不思議な魔道具などによって世界は空前のダンジョンブームになっていった。
法律が改正され、一般の人でもダンジョンに入ることができるようになり、モンスターを倒し、そのドロップアイテムを売り生計を立てる冒険者なんて呼ばれる人たちも現れた。
ダンジョンが出現してからスキルと呼ばれる特殊な力が急に目覚めるケースもあるらしく、そんな人達はみんなダンジョンに潜りお金を稼いでいるそうだ。
ダンジョンには15歳以上なら登録すれば誰でも入れるようになるため、小遣い稼ぎの高校生なども入っているそうだ。
魔石はもちろん、ダンジョン産の食材や現代では開発することができない魔道具なんかも高く売れるので一攫千金を狙ってはいる人も後を絶たない。
モンスターと命のやり取りをしているだけあって殉職率も高いらしいのだが…
そんな冒険者の中で何年か前からやり出したのが配信だ。
危険だから冒険者にはならないがダンジョンを見てみたいという人も沢山いるらしく需要は高く、投げ銭などもあり最近はそっちメインの冒険者もいるぐらいだ。
俺もそんな視聴者の1人で、確かに冒険者には一時期憧れもしたが、命の危険があることとその時に両親がなくなり遺産が入ってきたこともあり、命をかけてまでやることに魅力を感じなくなり、そのまま冒険者にならずに今に至るわけだ。
「まあ、結局ニート生活しながら冒険者の配信を見て適度な刺激を感じる俺が一番の勝ち組だな」
そんなことを考えながら配信を見ていたらいつの間にか夜になっていた。
配信を見ていると一日があっという間にすぎる。
「いやー、今日も最高の1日だったな」
また明日も配信をみてダラダラ過ごそうと決めベットに入り眠りにつく。
10時過ぎに目が覚め起き上がろうとするとふと、違和感がする。
ベットがやけに盛り上がっていて何かが足にしがみついている。
「ん?なにか変な感じが…」
若干の恐怖を感じながらも布団を捲るとそこには綺麗な銀色の髪の毛をした少女が足にしがみついているのが見えた。
え…なにこれ…
理解できない光景に戸惑いながらも必死に記憶を探る。少なくとも昨日の段階ではこんな少女はいなかった、そもそもこんなの誰かに知られたらやばいんじゃないか?
そんなことを考えていると少女が目を覚まし、こちらを見つけると嬉しそうな顔しながら戸惑う俺に向かって、
「おはようございます!マスター!」
そんな事を言われた。
マスター?どういう事だ…
そもそもこの子は一体誰なんだ…
突然のことに戸惑いながらも少女に向かって質問も投げかける。
「えっと、君は一体誰なんだい?」
「私はマスターのスキル『神剣作成』から生まれた神剣です!」
「神剣?スキル?俺にスキルが現れて君はそれで生まれたと?」
スキルが急に目覚めるのは知っているがスキルから子供が生まれるなんて聞いたことがない。
ましてや神剣なんて御伽噺の様な物があるとは思えない。
だが否定しようにも、目の前の彼女との間になにか見えないもので繋がっている感覚がある。
とりあえず目の前の神剣と名乗る少女に詳しく聞かなければいけないようだ。
目の前の食事をしている神剣と名乗る少女との衝撃的な出会いをしてから2時間ほどたち、ある程度の情報は手に入った。
とりあえず目の前の少女はほんとうに俺に目覚めたスキルから生まれたらしく、今は少女の姿をしているが実際は御伽噺などで出てくる、神が使う剣、神剣なのだそうだ。
俺に目覚めたスキルはそんな神剣を作れるそうなのだが色々制約があるらしく、今は目の前の少女が説明などをするために俺の寝てる間にスキルが自動的に作り出したらしい。
少女が言うには神剣と言うだけあってとてもすごい力を秘めているらしいがどうにも信じられない。
「なあ、神剣、説明するために出てくるのは分かったが、お前はこれからどうするんだ?」
「もちろんマスターと一緒にダンジョンで戦うんですよ?後その神剣て言うのはやめて名前をつけてください!」
「え?」
「ん?」
「いやいや、俺はダンジョンなんか行かないぞ?」
「ちょっ!なんでですか!私を使えばダンジョンなんて楽勝ですよ!?」
「バカヤロウ!金があるのに働くなんてバカのやることだぞ!俺は絶対働かないからな!」
「せっかく私がいるのにそんなの勿体ないですよ!?」
もう目の前の少女が神剣だとか俺のスキルから生まれたとかどうでもいい。
こいつは間違いなく俺の快適ニート生活存続の敵だ!
俺を揺さぶって、ダンジョンへ行きましょう、名前つけてください!と叫んでいる少女を見ながらそんなことを考えているとふと頭の中を過ぎる。
「よし!いい名前が浮かんだぞ」
「ほんとですか!?ぜひぜひ聞かせてください!1度つけたら変更できないので可愛い名前にしてくださいね!」
「お前は今日から堕神剣だ!俺のニート生活の邪魔をする神剣なんてもはや神剣じゃねえ!」
「ちょ!そんな名前嫌なんですけど!変更できないって言ったじゃないですか!」
付けた名前が気に入らないようで騒ぐ少女、堕神剣を無視しながらどうやってニート生活を存続させるか考えながら、近所の人達絶対誤解してるから早急に解かないといけないなと思う。