表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/25

作戦

 今日、キャスリーンの姿は騎士団の館にあった。広い作戦室の奥にはもう一つ、上官達が作戦を立てる為の部屋がある。キャスリーンはその部屋を使い、ルディガーを呼び出して報告を聞いている。


 部屋の中には大きなテーブルがあり、テーブルの上にはアズールマーレ王国の地図が描かれている。壁面には資料となる本がびっしりと置かれた本棚があり、テーブルの前には指揮官が座る机もあった。


 キャスリーンは椅子には座らず、立ったままルディガーの話を聞いていた。

「女の身元について、少し分かりました。女はいつも陛下に同行する娼婦ではなく、別の娼婦だったようです。クラウスが送り込んだんでしょう」

「逃げられて、女は湖に身を投げたんでしたね。せめて生きて捕まえていれば話を聞けたものを」


「そのことなんですが……」


 ルディガーは言いにくそうに声を潜めて、デクスターの護衛をしていた騎士がわざと死なせたのではないか、と言った。


「心当たりがあるということですか?」

「……確証はないですが、あの日陛下の護衛をしていた騎士ラングウェルの家は、無茶な事業に手を出して大失敗したんです。それで破産寸前だと噂があります」

「クラウスが、ラングウェルを買収したと?」

 キャスリーンは信じられない、という顔をしていた。ラングウェルは上級騎士で、長く騎士団にいてデクスターの信頼も得ていた。

「家を救う為なら、やるかもしれません」


 ルディガーは話を続ける。

「それに、狩りに同行していた猟師も姿を消しています。蛇を仕込んだのはその猟師と見て、我々の仲間が追っています……もう生きてはいないかもしれませんけどね」


 ルディガーの報告を聞き、キャスリーンは顔を上げた。

「ありがとう。猟師のことは騎士団に任せます……それよりも、クラウスの動向です。彼はどうしているのです?」

 ルディガーはため息をついた。

「噂では、キャスリーン様と暮らすつもりなのか、新居の模様替えに励んでいるようですよ。あの男は未だにキャスリーン様との結婚を諦めてはいません。父親が航海から戻ったら婚約式だと、周囲に吹聴しているようで」

「マシュー卿はまだ戻っていないのですか? 予定ではもうブルーゲートに戻っているはず」

「航海が長引いているようで、予定からだいぶ遅れているようです」

「そうですか……」

 キャスリーンはアズールマーレ王国の地図に目を落としながら呟いた。港町ブルーゲートからは貿易船が出入りしている。クラウスの父マシューは、沢山の交易品を積んで今頃ブルーゲートを目指しているはずだ。


「キャスリーン様。もうじきクラウスを捕える材料が揃います。猟師が見つかり、証言が取れれば奴を連行できますから、もう少しの辛抱です」


「ええ。お父様へしたことを、必ずあの男に償わせます」

 キャスリーンの瞳には覚悟が見えた。



♢♢♢



 キャスリーンはその後、騎士のラングウェルを捕えて尋問するように騎士団に命じた。ラングウェルは口を閉ざし続けたが、五日後にようやく口を開いた。彼は実家を支援してもらう代わりに、クラウスに協力していた。捕まえるふりをして暗殺者の女を殺せと命じられたのだと話した。

 そしてラングウェルが証言をしたのと同じ頃、猟師を追っていた騎士団は、猟師を見つけて彼から証言を引き出した。猟師はクラウスに金を積まれ、デクスターに蛇をしかけたのだと認めた。


 こうしてクラウスがデクスター王殺害に関与した証拠が揃った。キャスリーンは騎士団に、クラウスの連行を命じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ