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テーマ詩集:ダンジョン

まあるい不死鳥

作者: 歌川 詩季

 蛇も虹も好き。

 夕陽(ゆうひ)が 西だか 東だかに沈んで

 そっちの空が 赤くにじんでら

 輪郭もぼやけた ぐずぐずの太陽

 ()れすぎちまったのか

 じわっと しみだしてくかんじ


 つめを ちくっとたててやればさ

 ゆびで ぶちゅっとつぶしてやればさ

 あっちの海は ミネストローネみたいになる

 でっかい マドラーでくるくるやってやると

 この星は赤い惑星になるんだぜ

 おっかないだろう?


 不安で眠れねえのも わかるから

 夜がやってきたら ひとばんじゅう

 ココアと クリームをはさんだクッキーで

 蛇だか 虹だかの音楽をかけて

 ギターのフレーズをくちずさんで()かそう


 もし この夜があけないとしても

 白と黒とにわかれてしまった紫が

 おれたちのことを 染めててくれるんだとしたら

 まあ いいやって笑ったおれに

 おまえは てのひらでテーブルを どかどかやって

 おれがくちずさむ ギターのフレーズにリズムをくれた



 心配すんな いまごろは

 太平洋だか オホーツク海だかの どっかの海で

 トップレスの人魚と あごの割れた半魚人が

 血まなこになって かきあつめてるころさ


 心配いらねえって いまごろは

 カリブ海だか 死海だかの 底をあさってた

 ウェイトレスのセイレーンと 皿の割れた河童(かっぱ)

 血なまこに乗って もどってくるころさ



 八割がたそろったら だいだいのかたちをととのえて

 炎か 火の玉の歌を 肩を組んで歌うんだ

 ハモンドオルガンのソロがおわったら

 よみがえった まあるい不死鳥は

 のこりの二割が まだ赤く染める海を飛び出して

 東だか 西だかの空を

 輪郭もぼやけた ぐずぐずの翼で

 じわっと しみだしながら昇っていく


 おれたちが それを見たら 涙がこみあげてくるはず

 ぼやけて 輪郭なんて消えちまった

 ぐじゅぐじゅの燃えさかる翼が

 じゅわっと 焦げくさくなりがら

 東だか 西だかの空を 南へと昇っていく

 まあるい不死鳥の姿に こぶしを高くあげたことだろう


 夜更(よふ)かしがたたった おれたちは

 朝ごはんと昼ごはんの

 ごちゃまぜをたべるはめになって

 そいつを見(のが)しちまったのが 悔やまれる



 まあいいや

 まあるい不死鳥は どうせあすも よみがえるんだ

 いまはまた 西だか 東だかの 空を

 赤くにじませる ぐずぐずの夕陽(ゆうひ)

 ミネストローネに染まりゆく海を見てるよ

 まあいいや さあここからは

 白と黒とにわかれてしまった紫が

 おれたちのことを 染めててくれる夜を

 楽しむことにするぜ

 

 センキュー ロックンロール!



 今夜も 蛇だか 虹だかの音楽をかけて()かそう

 最強の布陣を考えれば。


 第三期の紫と三巨頭時代の虹を、くっつけたものになってしまいます。

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― 新着の感想 ―
[一言] これは、歌詞的でしょうか。 前半、5656は対比的とは言えないけれど、44は完全に対比ですね。ここがサビになるのでしょうか。血ナマコは良い/w 後半は自由な形式に見えます。 まあ、内容は多…
[良い点] タイトルの「まあるい不死鳥」をはじめ、メタファーの流星群のようです。独自の世界観があって、流れる一つひとつの言葉が、ロックです。こういう表現の仕方もあると、改めて学ばせていただきました。あ…
[一言] 後書きがなければ、 「これ」が「それ」のことだとは 気づきませんでした ちょっとファンタジーっぽいけど とってもロックな詩なんですね ---- 濃い紫色は 数多の夜の先に沈んで 白い蛇が…
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