五口目
四つの大軍の中でも、『ケチャップ』軍は速攻を得意としている。
まさか、すでに黄色高地近辺まで接近しているのか?
だが、この白い大地において、『ケチャップ』軍の赤い色は目立つ。発見できないなんてことは・・・・・・。
「む、赤か」
指揮官はすぐさま副官に話しかける。
「まさかとは思うが、あれだろうか。コンビニとかで近年、見るだろ? 透明のコーラとかコーヒーを」
本来なら黒い色をしているのに、透明の飲み物。
もしも、あのような技術を『ケチャップ』軍が取り入れているのなら・・・・・・。
「なるほど。透明になっている可能性があるわけですか」
「透明でなくても、赤以外の色に擬態している可能性がある。たとえば、白とか」
指揮官はヨウショク平原に伝令を走らせた。あそこには『マヨネーズ』軍がいる。『ケチャップ』軍が擬態して紛れ込んでいないか、周囲の軍は至急確認されたし。
このように、各軍が戦場の情報収集に奔走している中、北の国境線は不気味な静けさに包まれていた。
この方角だけは、黄色高地に直接つながる道がないことから、大同盟軍は戦力を配置していない。過去の戦いにおいて、北の国境を越えてきた軍は存在しないのだ。
しかし、そこに謎の大軍が接近しつつあった。
その正体は、『ハンバーグ』軍である。