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四口目
「急報!」
偵察部隊が息を切らせて走り込んできた。
「『ソース』軍に大損害! 味方が優勢です!」
指揮官は少しだけ表情を緩める。『あの作戦』がうまくいったらしい。
ヨウショク平原にいる味方部隊が囮を務めている間に、別働隊が『ソース』軍を背後から奇襲したのだ。『いくら』軍、『塩辛』軍、『辛子明太子』軍、『納豆』軍による、精鋭部隊である。
「固形物を侮るから、こういうことになる」
ヨウショク平原に現れたのが、『ソース』軍だったのが幸いした。『塩こしょう』軍ならおそらく、作戦を看破していたと思う。
後方を攪乱されて、『ソース』軍は指揮系統が崩壊。戦力の再編成を余儀なくされたらしい。大軍ゆえに時間がかかるだろう。
これで脅威の一つが消えた。
しかし、まだ動いていない大軍がいる。『ケチャップ』軍だ。『しょうゆ』軍、『塩こしょう』軍、『ソース』軍に続く、第四の巨大勢力。
その動向には、注視しておかなければならない。
「それが・・・・・・」
偵察部隊の顔が曇る。
「『いない』としか、言いようがなくて」
「そんなはずはない! しっかり探せ!」