召喚主と応答者
その頃、世界をひっくり返してしまった男、すなわち俺は、洞窟の扉の前にいた。
暗闇の中から何かが出てくるのを待つようにして。
その時、猛スピードで何かとてつもないエネルギー源が近づいてきた。
その何かは俺に向かって走ってくる。
人・・・だが、こんな奴洞窟の中では見なかったぞ?
見たと言ったら・・・田中優斗という歴史バカがいたなあ。
そいつは俺の前に来て、「すいませんが、御主人様。此処で何をしておられるのでしょうか。」と言ってきた。
は? 何を言ってるのかよくわかりませんねえ。
目の前にいるアンポンタンは何を言ってるんだろう?
俺が御主人様? 無い無い無いぜーったいにあり得ない!
俺はこの世界に来て数えられるほどしか、見た目が『人』の生物と会ってないんだぞ!?
えーっと・・・そう!そうだ!これは人間違えなんだ!
「あのう、人間違えじゃあー」
「はい?人間違え、ですか?いえ、そんなこと有り得ません!」
「何で違うと断言できるんだ?」
「はい、それは御主人様が私の召喚主だから、です。
召喚時に命名スキルとして『輪廻解明』と言うスキルが備わりまして、
そのスキルを施行すると対象者の情報を知ることが可能となるのです。」
ん?サラーっと聞き流そうと思ったが、聞き捨てならない言葉があったぞ?
「おい。『命名スキル』ってどう言うことだ?
俺はお前に名付けた覚えはないが?」
「『名付ける』と一言で言いましても様々な方法があるのです。
私の場合は、御主人様が召喚してくださった時の感情による名付けでしたが・・・」
ほうほう、まあ自分で考えるなんて面倒なことはしたくないし
返って良かったのかもしれないな。
「えーっと、それで『命名スキル』についてだがー」
「知っておられるかもしれませんが、命名スキルはご主人様の
『勁烈解明』の劣化版となっております。」
あ?やんのか?手前!俺の言葉を遮るとはいい度胸してんなあ!
ーという感情は顔だけに出しておいてと、
さあ話は戻るが・・・スキル獲得してたの!?
えー?スキル獲得したらなんか音声が流れる便利な仕組みだと思っていたのに!
ま、まあ愚痴言ってても仕方ないか。
俺は『勁烈解明』を発動させた。
その瞬間、自身だけでは支え切れないほど膨大な情報が流れ込んできた。
そしてその流れが収まると脳内で処理された。
名前:田沢由紀夫→シリウス・デ・ヴェガ
能力:思考創造 七色変幻 能力・英気奪略 能力・英気破棄 力量奪略 力量破棄
種族:神魔族
生物:不明
英気:輪廻解明→ 勁烈解明 法則解放 絶大転生
えーっと?うーん?
田沢由紀夫に対してシリウス・デ・ヴェガってwww カッコいい・・・のかなあ?
てか能力多いな! 前半二個以外全部チートすぎるんだが?
スキルに至っては絶大転生とかわけわからんし。
もう異次元すぎてよくわからんわ。
見てるだけで神経使うわ!
まあとりあえず強いということで認識しておこう。
だがやはり比較物が必要だな。
俺はもう一度、『勁烈解明』を発動させ、
目の前にいる男を解析した。
『また情報が流れ込んできたよ。
この感覚は慣れられないねえ。』
そう心の中でつぶやいてる間に解析は終了した。
名前:ラリアット・デ・ヴェガ
能力:漆黒の古 無限結界 神体増強
種族:魔族
生物:古の融合体
英気:輪廻解明 属性反転
おー。まあまあ、かな?
内心で雑魚だと思ったのは言わないでおこう。
こいつは特訓をしなければならないな。
そう思い俺の前にあったのはあの洞窟である。
ここの中には結構魔物がいたし、特訓になるかな!
「よし!ラリアット!俺についてこい!」
「は!喜んでお供いたします!」
そんな会話を交わし、俺たちは魔窟へと脚を運んでいった。