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予想外のオルガの登場にアンベールは唖然とした。何故オルガが此処にいる⁈いや今はそれどころではない。一体自分はどうすれば良いんだ…。


ヘンリエッタを手放すなど今はもう考えられない。寧ろ直ぐにでも正式に結婚をしたいくらいだ。だが、オルガをどうにかしなければならない。


きっとオルガの事だ。大人しく引き下がるなどあり得ないだろう。別れを切り出せば発狂して暴れ回り、何をするか分かったものではない。


「オルガ…話せば分かる」


アンベールは取り敢えずオルガと話し合いで解決を試みる。


「何を話せば分かるのよ⁈貴方私を捨ててヘンリエッタを選ぶつもりなんでしょう⁈どういうつもり⁈」


多分話し合いでは無理だ。オルガの怒りは既に頂点に達している。


「す、すまない‼︎だがやはり本当に愛しているのはヘンリエッタだと気がついたんだ」


「はぁ⁈今更何言ってるのよ⁈そんなの許される訳ないでしょう⁈ヘンリエッタとは婚約破棄するってあれだけ言ってたのは嘘だったの⁈」



「それは、その…」


確かにオルガには浮気を始めた当初からヘンリエッタとは婚約破棄をするから一緒になろうと言ってきた。だが現実は色々と家の事情などで厳しいのは分かっていたが、ついオルガが喜ぶので口癖の様になっていたのは事実だ。


「ハッキリ言いなさいよ‼︎もう一度聞くわ。私とヘンリエッタどちらを選ぶの⁈」


オルガの威圧に押されアンベールは黙り込む。脂汗が額に滲んできた。ここでヘンリエッタと答えたらオルガに殺されるかも知れない…それ程今のオルガの顔は恐ろしい。


「と、と取り敢えず…落ち着くんだ、オルガ。別に君を嫌いになったとかではなくて…君の事も好きではあるんだ。あるんだが」


アンベールがオルガの気迫に負けたそうになったその時ヘンリエッタが視線に入り「アンベール…」と囁き酷く悲しげな瞳で此方を見ているのが分かった。そうだ。ヘンリエッタの為にもこんな風に弱気ではダメだ!


「いや、やはり私にはヘンリエッタしかいない‼︎」


そう声を上げアンベールはヘンリエッタを抱き締めようとしたが…テオドルがすかさずヘンリエッタを自分へ引き寄せた。ヘンリエッタは驚きテオドルを見るがしれっとしている。


「テオドル殿下⁈曲がりなりにも彼女は婚約者のいる身ですよ⁈しかも今目前にその婚約者である私がいるにも関わらず、抱き寄せるなどいくら殿下でも見過ごす事は出来ません!」


アンベールは怒りに震えた。ヘンリエッタに触れる事が許されるのは婚約者である自分だけだ、と。


「なら、ヘンリエッタの意思を聞いてみたら良いんじゃないかな。僕と君、どちらが彼女に相応しいか」


まだその話は続いていたのか…ヘンリエッタは内心苦笑した。テオドルはアンベールを煽る為にワザと演技をしているのだろう。だが演技だと分かってはいるが心臓が早くなるのを感じる。故に同時に悲しくもなる。



アンベールはヘンリエッタを真っ直ぐに見遣る。そんな事は聞くまでもない。ヘンリエッタは自分を愛しているのだから、とアンベールのその顔は自信に満ち溢れていた。


「ヘンリエッタ、私は君を愛している」


その言葉にヘンリエッタは目を見開き、花が咲いた様に笑って「アンベール、嬉しいわ。ありがとう」と言った。


その瞬間アンベールは勝利を確信した。分かりきっていた事だがたまらなく嬉しい。


「ヘンリエッタ、ならば私と直ぐにでも」


アンベールは直ぐにでも結婚しようと言いかけたがヘンリエッタに言葉を遮られる。


「アンベール」


「ヘンリエッタ?」





「でもね、残念。私、貴方の事もう愛してないの」






予想外の言葉に一瞬何を言われたのか分からずアンベールは呆然とする他なかった。


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