5話 ハピネスのみんな
美桜の叫びを聞いて、有栖、ハピネスのメンバー達、良はびっくりしていた。
「あ、あの!?大丈夫ですか!?」
「美桜ちゃん!?どうしたのよ!?」
腰を抜かした美桜に心配して声をかける有栖と良。だが有栖も内心、自分達がハピネスに入ることに動揺を隠せない。
「だ、だって……、私達がハピネスに入るんですか!?」
「え、ええ、そう……」
「でも、私達は女性ですよ!入ったらファンから、批判されるんじゃ……!?」
「彼女の言う通りです。社長」
「!」
男性の声が聞こえてきたので、みんなは一斉に振り返った。
そこには、スーツを着て眼鏡をかけた、
黒い短髪の真面目そうな男性が立っていた。
「大和くん……」
大和くんと呼ばれた男性は、良の顔を見て
真剣に話す。
「僕は反対です。ハピネスは今まで、男性だけでやってきたグループです。それにハピネスは女性ファンが多いから、彼女達がファンから批判されることは目に見えています!」
それを聞いて美桜と有栖は内心納得していた。確かに、彼の言う通りだわ。
私と有栖さんが誹謗中傷にあったら……。
それで歌い手をやっていけなくなるぐらい
傷ついたら……。
でも。
「批判は目に見えてるわ……。
でも……彼女達は次第に認められるわよ。
彼らは新しくなることで、歌い手界に革命を起こせるわ!私にはその自信があるの!」
「社長……」
社長は真面目な面を見せて、大和に言い返した。そして、美桜と有栖、ハピネスのメンバーにこう言った。
「だから、あなた達には頑張ってほしいの。ほら、美桜、アリス。ハピネスのみんなに挨拶をしなさい」
「みなさん、よろしくおねがいしますわ」
「よ、よろしくおねがいします……」
お淑やかに言う美桜と、控えめな感じの
有栖。
ハピネスのみんなは挨拶を返した。
「「よろしくおねがいします……」」
「それじゃあ、1人ずつ自己紹介!」
社長が元気よく言葉を発すると。
「まずは、僕から……」
長身で黒髪の青年が前に出てきた。
雰囲気はとても色っぽくてクールだが、彼は優しそうな表情をしている。
「僕、ゆうひって言います。リーダーしてます」
次は、こちらも長身で明るい茶髪の青年が出てきた。彼も色っぽい雰囲気がある。
「俺はレイ。2人ともよろしくな」
その次は、小柄な外見で中性的な顔立ちをした金髪の青年。彼は明るくてにこやかな笑顔をしている。
「僕がみちるだよー。君達のこと知ってるよ。会うの楽しみに待ってたよー」
最後は、中くらいの背丈で童顔とミルクティー色の髪が特徴の青年だ。
癒し系なふわふわした感じがある。
「かなえです。よ、よろしくおねがいします」
彼らが自己紹介を終えると、美桜は彼らに笑顔を見せる。
「私達、みなさんに会えてとても光栄です。これから一緒に活動していきましょうね」
美桜がそう言うと、今度は眼鏡の男性が口を開いた。
「僕はハピネスのマネージャーの若菜 大和。
君達のことは美桜、アリスって呼び捨てで読んでいいかな?」
「「は、はい。」」
「さっきはあんなこと言ってごめん。
これから一緒に頑張っていこう」
「大和さん、ありがとうございます」
頭を下げる美桜と有栖。
みちるは大和の頭をぐりぐりした。
「もぉー、大和は心配性なんだからー」
「ちょっ!止めろお前!」
嫌がってみちるに怒る大和。
その横で良が話をする。
「あ、そうそう。来月にライブが行われるから、その時にあなた達を新メンバーとしてお披露目するわ。そこで一緒に歌も歌ってもらいましょう。キラメキリソウキョウとスキニナルって曲を歌ってもらうわ」
「はい、私達頑張りますわ!」
これから、私と有栖さんはハピネスとして
活動することになる。
不安もあるけど……心の中は楽しみな気持ちでいっぱいだ。これから頑張っていこう。
そんな美桜の心は弾んでいた。