10話 打ち上げとお泊まり
「わあ、すごい……!」
「私達が暮らしてる家みたいですね……!」
木々の中に隠れている大きくて綺麗な家を、美桜と有栖は見ている。横にいた優光は2人に話す。
「みんなここで暮らしてるんだよ、中に入ろっか」
優光に手招きされ中に入ると、他の男性メンバー達に迎えられた。
「美桜ちゃーん、有栖ちゃーん、待ってたよー!」
「「ひゃっ!」」
みちるが早速彼女達に抱きついた。
「アハハ、ひゃっ、て可愛いなあ」
その様子を見て、レイが止めに入る。
「こら、みちる止めろ。2人が驚いてるだろ」
「だって2人とも可愛いんだもん」
可愛い、なんて。
そんなこと言われたら照れちゃうよ。
美桜と有栖は顔を真っ赤にさせる。
ちなみに、今日はハピネスメンバーだけでの
打ち上げ、それから、女性メンバーを入れてのお泊まりだ。
食事は何にするかで話したが、みんなで楽しく作れるものがいいという案が出た。
そこでレイの提案で、たこ焼きになったのである。たこ焼きならくるくる回して作れるし、具材は何でも入れれるし美味しいから、
ということで。あと、今日はみんなでお酒を飲む。楽しくなりそうだな、と美桜は実感していた。
「俺はカレーでも、お好み焼きでも、もんじゃ焼きでもよかったんだけどな」
「カレーとお好み焼き……、レイくんの好きなものばかりじゃん。好きなものが食べたいんでしょー。カレーのにんじんはいつも残すくせにぃ」
「いいだろ、別にー」
笑いながら会話するレイとみちる。
すると、かなえが優光にこんなことを聞いてきた。
「ねえ、優光くん、買い物はいつ行くの?
僕、優光くんと行きたいなあ」
「もうそろそろ行くよ。準備しておいで」
「はーい」
「ねえ、私達も着いて来ていいかしら?」
「うん。いいよー」
「かなえくん、迷子にならないでね」
「もう、大丈夫だってばー」
かなえはそう言うと、急いで部屋に戻って準備を済ませるのであった。
「えっと、あとはこれね」
「美桜ちゃん、プリンたくさん買っていい?」
「1個だけですよ。今日はたこ焼きを作るんですから」
「プリン、たこ焼きに入れていい?」
「だめよ」
ハピネスのみんなは、買い出しのために
スーパーに来ていた。
美桜はかごの中に材料や酒を入れていく。
入れる具材はたこだけでなく、有栖のリクエストでトマトやチーズも入れることになった。
「よし、これで全部揃ったわね」
お会計に行こうとしたが、かなえがいないことに気づいた。
「かなえくん、すぐどこかに行っちゃうんだから。迷子になるなって言ったのにぃ」
「かなえー、どこだー」
ここは広くて大きいスーパーである。
迷子になったら大変だ。探さないと。
みんなで探し回っていると、お菓子コーナーにかなえがいることに気づいた。
「かなえくん、探したよ」
「ご、ごめん、みんな!僕、お菓子見てたんだ。あ!ねえねえ、このミルクキャンディ、たこ焼きに入れたら美味しいかな?」
「「いや、絶対美味しくない」」
「あ!僕の好きな抹茶は?どうかな?」
「「いやいや」」
かなえの天然っぷりに、一斉に男性メンバーがつっこんだ。
すると、今度は有栖がお菓子の陳列棚に置いてあるチョコレートを見つめている。
「チョコレート……入れたいです」
「それもだめよ。有栖さん」
「じゃあ、そろそろ会計して帰ろっか」
優光がそう言うと、美桜は一人でレジへと向かった。会計を済ませると、家へ帰り準備を始めたのであった。