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神よ我らの祖国に栄光を!  作者: 卯柿魯安
第二章:反ザイン・ベルトホルト連合
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19話 「二枚看板」

 討伐軍・本陣にて、僕を含む諸侯達が軍議を凝らしていた。

 カストディオ将軍は地図を開きながら、「フェルストブルクへ攻め入るにはロブヴィリオン、そしてブラビゲンの砦を破らねばならない。このロブヴィリオンの戦いは断じて勝たねばならん。そこでロブヴィリオン攻撃の先陣だが……。我と思わん将軍は名乗りを上げよ」と言った。


「その先陣、私にお任せ頂きたい」

 そう名乗りを上げた者はフロムディア総督レジス・ドレイクであった。

 彼はたった5千の騎兵で亜人族の軍勢3万を破り、1万を討ってさらに追撃し、これを大破させたまさに北方が生んだ勇者である。


「いいや、待たれよ。ロブヴィリオンの戦いはこのアルフォンス・サマナークに任せられよ」

「アルフォンス殿。私では不足か」

 レジスは不快感のこもった声でそう詰め寄る。


「いや、レジス・ドレイク将軍の武名は聞き及んでいる。だが、後々の大事のため、ここはわしで十分だ」

 アルフォンス・サマナークはヴェルトリアが生んだ名将アルデバラン・サマナークの末裔であり、南方でかなり名前が売れている男である。

 どちらともかなりの武芸者である。この選択は難しいな。


「カストディオ殿。盟主として、いずれかお選びください」

「~ん。どちらとも選びかねるが、ここはアルフォンス殿にお任せしよう」

 アルフォンスは拝礼をしながら、了解の返事をする。


「ドレイク将軍、戦いの目的はザイン・ベルトホルト打倒にある。後々の戦いに期待いたしたい」

レジスは不服そうな表情を浮かべながら、カストディオ将軍の案を聞き入れた。

かくして、ロブヴィリオンへ向け先陣として、二クレドのアルフォンス・サマナークが出撃した。


・・・


 連合が結成された少し後、フェルストブルクの王城はなんとなく色めき立っていた。

 次々と着く早馬は信善門につながれて、戦乱を予感するかのようにいなないていた。


「殿、早くお目をお覚まし下さい」

 レイモンは血相を変えて、ベルトホルトの寝室の壁を叩いていた。

 番人の兵士が「お目覚めになりました。いざ」と、扉を開いて彼の入室を許す。


「何だ。早朝から」

 ベルトホルトは脂肪太りの肥大な体を重そうに動かして、レイモンの方へよる。


「大事が勃発しました」

「また宮廷でか?」

「いいえ、こんどは遠方の地にてですが」

「山賊か? 蛮族か?」

「違います。かつてないほどの逆賊の大掛かりな旗揚げが起こりました」

「なるほど。首謀者はレオンハルトかカストディオのどちらかだろう?」

「左様です。たちまちのうちに、十二の諸侯をたぶらかし、我らを討つ旨の勅書を発しました」

「そいつは捨ておけん」

「もとよりのことです」

 ベルトホルトは兵士を呼びつけ、将軍達を集めるよう命令した。

 将軍達が集まるまでの間に、彼はレイモンからことの詳細を聞き出していた。

 数十分が経つ頃には、彼の命を聞きつけた諸将が駆けつけていた。


「~ん。相手が相手だ。こちらもよほどの大物を出さなくては」

 彼は腕を組みながら、誰がよいかと思案する。

 すると、彼に不平を言う者がいた。


「何を迷われるのですか? ここにブランディス・アベリオンがおります。高が知れたレオンハルトやカストディオらの企てなど片付けるのに何の造作がありましょうか。もしやこの俺がいるのを忘れたわけではないでしょうな」

 むしろ責め立てるような語気で言う。


「よう言ったぞ。ブランディス。お前が居ればこそ、儂も枕を高くし眠れるというもの。決して忘れ果てていたわけではない」

 ベルトホルトはブランディスの言葉に大いに喜び、彼を慰める。


「大公殿下。お待ちを」

 横から水を差すように一人の将軍が割り込んできた。

「何だ、カイゼル」

 誰かと瞳を集めて見るに、身長は軽くニメートルを超えるであろう大男であり、上半身が分厚い筋肉で覆われている。カイゼル・グランバーグ、獣のごとき獰猛さと他の追随を許さぬ武勇により、ベルトホルト軍にこの人ありと言わしめるほどの男なのである。


「奴らなどアベリオン将軍の手を煩わずらまでもないこと。 私が国賊どもの首を持ち帰ってみせます。何とぞ先陣を」

 また、ベルトホルトは彼の言葉に大いに喜び、高笑いをする。


「はっはっはっ。我わらの豪傑ども先陣を争っておるは」

「殿、どちらをお選びになりますか?」

「さて、どちらにしたものか?」とザインは腕を組み、頭を悩ませる。

 そこで、さらにカイゼルは続ける。


「鶏を裂くのに、どうして牛刀を使うのですか。アルフォンス・サマナークの鶏首など、このカイゼルの刀で十分でしょう」

 ベルトホルト軍の勇将二枚看板が一人、カイゼルの豪気はベルトホルトを納得させるものがあり、先鋒を彼に決める。


「よし、カイゼル。直ちにロブヴィリオンへ下り、我が王都を安んじるのだ」

「はっ、必ずアルフォンス・サンドリオを討ち取ってみせます」

 彼はカイゼルに兵2万を与え、ロブヴィリオンへの進軍を命じた。

 カイゼルは再拝して退き、バイロン・ケイヴェン、カール・フランクの二名を副将として選抜した。そして、その日に威風堂々とロブヴィリオンへと進軍していった。

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