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話が進まねぇ……ロリがでねぇ……
ロリを書きたい……。
宝物庫だった天幕で終わった窃と……ゲフンゲフン、採集行為で、大量のアイテムが手に入りました。使えそうな物もいっぱいあります。
そんな本日のリザルトが、こちら!
食料各種×いっぱい
甘味×そこそこ
換金アイテム×けっこう
お金×3000000エリン
HPポーション×32
MPポーション×56
状態異常ポーション×24
ハイHPポーション×12
ハイMPポーション×14
バフポーション×8
パラライズナイフ×1
ポイズンナイフ×1
黒鉄のナイフ×1
吸魔の腕輪×1
隠れ身のチョーカー×1
知性のイヤリング×1
闇帳のマント×1
隷属の首輪×23
その他使い道のなさそうな装備類×いっぱい
小規模の盗賊団にしては貯め込んでいましたねー。もしかして、一仕事終わらせた後だったりするんでしょうか?
状態異常を引き起こすナイフや、今使っている鋼鉄のナイフよりも上位の『黒鉄のナイフ』。攻撃を当てると魔力を吸収して自分のMPを回復する『吸魔の腕輪』。【隠す】、【隠れる】などの隠密系スキルの効果が上がる『隠れ身のチューカー』。INTを上げる『知性のイヤリング』。物理、魔法ともにそこそこ高い防御力を持つ『闇帳のマント』。
これらすべてを装備すると……あら不思議。ただでさえ可愛らしいマリスちゃんが、漆黒のマントを棚引かせ、青色のイヤリングを光らせ、首に赤のチョーカーを巻いた、悪役カワイイマリスちゃんになってしまったではありませんか。
なお、膝裏まであるマントをばさぁ! とすると、ベルトに巻かれた四本のナイフがきらりと覗くところがワンポイントです。やっぱり悪役と言ったらマントですよね、マント。一気に悪役っぽさが上がったと思います。
そんな風に、新しい装備品の着心地などを確認し終えた私は、大本命のアイテムに手を伸ばしました。
それは、鉄製の無骨な首輪でした。錠前部分には短い鎖がぶら下がっています。
「『隷属の首輪』……これね、この盗賊団が魔物を使役する時に使用しているアイテムは」
盗賊Aさんに尋問をしたときに聞きだした情報の一つに、この『隷属の首輪』がありました。
なんでもこれ、魔物使いの能力と合わせて使うと、より上位の魔物も使役できるとか何とか。ですが、今は前に使役していた魔物が死んだせいで、どの魔物にも使っていないそうです。二十三個もあったのはそのおかげですか。
そして、これは魔物だけでなく、人……つまり、NPCにも使えます。これを抵抗できなくした状態で首に嵌めればあら不思議。私に従順なお人形の出来上がりというわけです。
これを何に使うのかは……まぁ、また後でというわけで。そろそろ盗賊Aさんの様子を見に行きましょうか。
拠点の一番奥にある天幕。そこには、倒れ伏す十四人の男たちと、立ち尽くす盗賊Aさんが居ました。
ふむふむ、状況を見るに、盗賊Aさんは上手くやったようですね。こうしてぼーっと突っ立ってるのは……自分の行ったことが受け入れられず、現実逃避をしているとか?
【隠れる】を使わず、『笑い声を漏らしながら登場する』という悪役ロールまでしているのに、盗賊Aさんの反応は僅かに振り返って「なんで?」の一言のみ。これはもうあれですね、完全にハートブレイクしちゃってます。
しょうがないので、それっぽいことを言って、気付けの代わりにナイフでも刺しておきましょう。……って、あ。これ、パラライズナイフでした。背中に突き刺さったナイフのせいで『麻痺』になり、立ったままビクンビクンしている盗賊Aさんの姿は、かなり滑稽でした。
けど、意外だったのはそんな恰好になったにも関わらず、私に『約束』のことを言及してきたことですね。まさか盗賊Aさん、あんな約束が守られると本気で思っていたんですか? だとしたらあれですね、相当なお馬鹿さんです。
まぁ、そちらから止めを刺されに来たんですし、ご期待に応えるとしましょうか。盗賊Aさんの正面に周り込み、茶目っ気たっぷりに嘘だということをバラシて上げます。
そして、それを聞いてさらに絶望する盗賊Aさんのことを、全力であざ笑います。ああ! 心の崩れる音が聞こえてくるようです……! 元より壊れかけだった盗賊Aさんが、もっともっと壊れていく。名も知らぬモブとは言え、その様は私の目を十分以上に楽しませてくれました。
というわけで、優しい優しいマリスちゃんは、楽しませてくれたお礼に、盗賊Aさんを苦しみから解放させてあげることにしました。その方法は簡単お手軽。動かない的にナイフを振るうだけです。
ベルトから抜き去ると同時に放った横なぎの一撃が、盗賊Aさんの首を切り裂きます。ナイフが通った後に一筋の赤い線が走り、次いで真っ赤な鮮血が噴き出します。
確実に致命傷。これで盗賊Aさんは苦しみからもこの世からも解放されたことでしょう。地獄への旅路、どうぞごゆるりと。
……って、あれ? 盗賊Aさん、まだ生きてません? ……むぅ、私の気遣いを無下にするとは、酷いことをするものです。私、少し怒っちゃいますよ?
うーん、でもこのまま瀕死の盗賊Aさんをぼっこぼこのぐっちゃぐちゃにするのは、ただの八つ当たりっぽくてカッコ悪いです。
何か都合のいい言い訳は……おっ、そうです! 今ここに転がっている他の盗賊団のメンバー。彼らはこれから私のお人形さんになってもらう予定なのですが、今のままではこちらの言うことを聞いてくれそうにありません。
そこで、盗賊Aさんが悲惨な末路をたどったところを見せつければ、少しは素直になってくれるかもしれません。こういう輩は情に訴えかけるより、恐怖でどちらが上かを叩き込んだ方が速いですしね。
そうと決まればさっそく、盗賊Aさんを挽肉に変える作業に入りましょうか。それっぽいセリフも言って悪役レベルを上昇させつつ……。
(少女精肉加工中)
……はい! 盗賊Aさん百パーセント、合挽き肉を使わない百パーセントハンバーグの材料が完成しました! 床に散らばっているので食材として使うことはできないんですけど。
……この散らばった肉でハンバーグを作って盗賊団のメンバーに食べさせ、その反応を見るのも楽しかったかもしれませんね。きっと心底笑えるような絶望顔をしてくれるでしょう。
まっ、過ぎたことはどうしようもありません。そもそも私、【料理】スキルは持っていませんし。
さてさて、そろそろこの寝っ転がっている盗賊さんたちをお人形さんにしてしまいましょうか。正直なところ、盗賊さんたち薄汚いので、あんまり触りたくないです。けど、他に任せられる人もいませんからねぇ……。
ぶつくさと文句を言いながらも、その場にいた十四人の盗賊さん全員に『隷属の首輪』を填めることが出来ました。えっと後は、所有者登録をするために首輪へと魔力を注いでっと……。
《プレイヤー:マリスはこれまでの経験によりスキル【隷属支配】を習得しました》
《プレイヤー:マリスはこれまでの経験により称号【外道】を習得しました》
なんか納得のいかないアナウンスが流れた気がしますが、今は放っておきましょう。魔力を注ぎ終わると、首輪に一瞬だけ魔法陣が浮かび上がりました。どうやら無事に『隷属の首輪』の起動に成功したようです。
しかし、この盗賊さんたち、全然起きませんね。首輪を嵌められても、嵌めた後乱暴にそこらへ放っても眠ったまま。盗賊Aさんに睡眠薬を使えと言ったのは私ですが、ここまで効き目が強いヤツだったとは……仕方ない、さっそく首輪の効果を使いましょうか。
「命令、『起きなさい』」
倒れている盗賊さんたちに向けてそう言い放つと、首輪に魔法陣が浮かび上がり、盗賊さんたちの体がビクッと跳ねました。
すると、さっきまで何をしても何の反応もしなかった盗賊さんたちが、ゆらりと起き上がりました。首輪の効果はしっかりと発揮されているようですね。
意識を取り戻した盗賊さんたちはしきりに辺りを見渡したり、自分の体を見たりしています。そして、首に嵌っている物に気が付くと、そろって驚愕の表情を浮かべました。
「なっ!? ど、どうなってやがる!? なんで『隷属の首輪』が……!?」
「お、お頭ぁ!? お、俺たちにも嵌ってるんすけど……」
「おらっ、おらっ! クソッ! は、外れねぇ……チクショウ!」
むぅ、少し騒がしいですね。それに、自分たちのことに夢中過ぎて、私の存在に全然気が付いていません。ダメですね、今の私は、貴方たちのご主人様なんですよ? それを無視するなんて……ふふっ、いい度胸です。
「命令、『こちらを向け』」
「なっ!? ぐっ……」
「今の誰が……うおっ!?」
なので、首輪の効果を使っちゃいます。盗賊さんたちは強制的に動かされる体に驚きつつも、全員が私の方を見ました。元の体勢とか関係なしに顔ごと私の方に向いたせいで、変な姿勢になっている盗賊さんもいて、なんだか笑いを誘う光景になっていました。
しかし、ここで笑ってしまっては悪役失格。ここはビシッと決めて、盗賊さんたちを恐怖で支配してみせましょう!
私は余裕たっぷりに腕を組み、冷たい視線を盗賊さんたちに向けます。
「テメェか! こんなふざけたことを「命令、『黙りなさい』」……ッ! …………ッ!?」
五月蠅い盗賊さんを黙らせ、私は一人一人の顔を見渡し、口元に笑みを刻みました。見るもの全てが恐怖するような、冷たい笑みを。
さぁ、盗賊さんたち。現状を理解しましょうか。貴方たちは今、マリスという悪役に捕まってしまった哀れなモルモット。その命も尊厳も、私の手のひらの上だということを理解しなさい?
出ないと……貴方たちの足元に散らばる盗賊Aさんみたいになっちゃいますよ?
マントではしゃぐマリスちゃんカワイイヤッター




