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決して攻撃特化型ではない

「そうよ、アレックス、その調子!」

親友に魔術操作を褒めて育てられている次期王継承者です、こんばんは。ちなみにここは領都にある領主の館の庭の片隅です。

 なぜここまできてこんなことをしているかというと、アリシアに、王族たる者とっさのときに自分の身を守る術を身に着けておくのも大切なことではないかとあきれたように指摘されたことを真摯に受けとめたからである。・・・本当は辺境を守るためにアリシアが展開してみせた防御の魔術操作に感動した、サトゥルニノ叔父上とデメトリオに言われた言葉がきっかけである。

 2人が親友の魔術操作に感動していたのを最初は私もただ誇らしくそうでしょうそうでしょうと聞いていたが、

「アレクサンドラとは違うな!お前攻撃ばっかりだもんな!」

というデメトリオの言葉はいただけなかった。

 さらにサトゥルニノ叔父上まで、

「アレクサンドラは攻撃特化型だからなぁ」

と豪快に笑ったのだ。・・・脳筋親子にここまで言われるとは・・・!人のことを武闘派のように言わないでほしい。

 ということで、私は、王都へと出陣する前に付け焼刃的ではあるが、アリシアに防護の魔術操作の訓練をしてもらうことにしたのだ。親友の役に立てるならとアリシアは快く頼まれてくれた。

「本当にあっという間に上達したわ!」

アリシアの褒め言葉に素直にいい気分になっていた私だったが、アリシアは、

「今までやってこなかっただけなのよね」

とぐさりと続けてきた。

「・・・う」

それを言われると返す言葉もない。

「さあ、もう1度」

「はい、先生!」

 気を取り直してアリシアに教わったとおりに魔術を展開し、魔術操作を完成させると、私達の周囲には、魔力、物理での攻撃を防ぐ見えない防御壁が築かれる。ふむ。悪くないのでは。そう思っていると、

「完璧ね!」

アリシアも褒めてくれた。

 再び素直にいい気分になっていた私だったが、アリシアは、

「あとは私みたいにもっと広範囲に展開できればいいと思うわ!」

とさらりと続けてきた。アリシアは褒めて伸ばすタイプだが、求めるレベルも高いのだ。

「・・・それは無理だと思う」

着実に努力してきたアリシアにこんな付け焼刃の訓練で追いつけるはずがない。

「そうかしら」

アリシアは自分の凄さに自覚が足りないのか、首をかしげるが、そうなのである。

「でも王都に向けて出発した後も訓練は続けるから」

私が強い防御壁が築ければ戦術的選択肢が増えそうだ。

「だから、少しずつでも範囲を広げられるように頑張ってみる」

「頑張って」

アリシアは、私の手をぎゅっと握って励ましてくれた。

「ありがとう。・・・絶対に目的を果たすから」

「ええ、絶対に果たせるわ」

アリシアに誓っていると、

「・・・誰かが」

人の気配を感じた。

 アリシアと私が同時に振り向くと、そこにはアルトゥロがいた。

「お邪魔して申し訳ありませんが、お伝えしたいことが」

アルトゥロがそう言うと、

「じゃあ、私は先に休むわ。明日出発前に最後のおさらいをしましょう」

アリシアは気を利かせて去っていく。

「うん。お願い」

アリシアを見送った私にアルトゥロは近づいてくると、

「予想通りに奴は動きました」

そっと告げる。

「例の情報を送った?」

「間違いなく。その後は捕えてあります」

アルトゥロのもたらしてくれた情報は、私にとって満足のいくもので。

「じゃあ、全て予定通りに」

「はい」

どうやらまず最初の策はうまくいきそうだ。

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