一緒に戦える人達
「俺も行く」
巡回に同行する話をしたら、エステバンは即答した。
だけど、巡回の話をしながらも、私は迷っていた。いつもの実戦経験を積むための巡回への同行とは状況と危険度が違う。
「今回は・・・」
一緒に行くのはやめようと言おうとした私を、
「俺は!今回も絶対一緒に行く」
エステバンは、珍しい口調で珍しく私の言葉を遮った。
「でも・・・」
「大丈夫。俺も強いから」
絶対に一緒に行くのだとエステバンは言った。
実は、お兄様とエステバンにも前世の話はしている。こそこそしてたらがっつりと問い詰められたので。だから、エステバンも今回の巡回でどんなことが起こると私が懸念しているか知っていて、それでも一緒に行くと言ってくれる。
「・・・うん。一緒に戦ってほしい」
エステバンに万が一にも傷ついてほしくないという気持ちもあるけど、エステバンが才能の上に努力を重ねて築き上げた強さも知っている。正直に言えば一緒に戦ってくれれば心強い。
「もちろん!」
エステバンが、嬉しそうに破顔する。
一緒に育ってきて、一緒に訓練や勉強をして、一緒に魔獣との実戦を積み重ねてきた。今度の巡回にも一緒に行って戦ってほしい。本当はそう思ってた。
「力を貸して。みんなを助けるために」
手を伸ばすと、エステバンも私の手を取ってくれた。
「絶対一緒に助けよう」
「絶対に」
ぎゅっと手を握り合って誓っていると、
「あのー俺も行くつもりなんですけど」
どことなく遠慮がちにイライアスが口を挟んでくる。
何となく邪魔された気分になった私の唇が自然ととがってしまう。
「ちょっとアレックス様、態度が違いすぎませんかね」
そうイライアスは言ってくるが、
「イライアスは私の師匠の1人でしょ」
心配なんてしない。
私の言葉に、イライアスはなぜか機嫌を良くして、
「そうかそうか、そうだよな」
ニヤニヤしたたけど、なぜかエステバンの機嫌が悪くなった。
「俺だって・・・!」
「エステバン?」
私が首をかしげていると、
「お前もいつかこうなれるって」
イライアスは機嫌のよいまま、エステバンの頭をなでて、エステバンにしては珍しく乱暴な仕草で振り払われていた。
・・・あ、もしかして。
「エステバンを信頼してないわけじゃないの!ただ大切だから・・・」
誤解されないようにとエステバンに説明しかけて、これはこれで誤解を生むことに気が付いた。
「違うの、イライアスが大切じゃないわけじゃないの!ただ・・・」
「「わかってるよ」」
慌てる私の言葉を2人が優しく遮った。
「大丈夫、わかってる」
エステバンが重ねて言ってくれて、
「うん」
私は安心して頷いた。
そんな私の頭をイライアスがさっきエステバンの頭をなでたみたいになでてくれて、そして、いつの間にか私よりかなり背が高くなっていたエステバンまで私の頭をなでる。
「へへへ」
何だか安心して、照れくさくて。
私は笑ってしまった。




