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家族いっしょに

さて。

ごろりと寝返りを打った私は、目の前の柵をむんずとつかんでみた。それからぎゅっと力を入れて。

「あ、あれっくすが立った!」

ク○ラが立った、的な。前世の名シーンを思い起こしていると、お兄様はぱちぱちと拍手をしてくれる。気をよくした私は、

「あーあー!」

手を伸ばしてお兄様の隣にいるお母様にだっこを要求してみる。

「はい、いらっしゃい」

お母様は、ちゃんと私のリクエストを理解して、抱き上げて、そして、ベッドの外の世界に下ろしてくれた。よしよし。まだつかまり立ちしかできないが、幸いハイハイは得意。さくさくとハイハイを開始する。

この屋敷は大変いきとどいているので、私がハイハイを始めたとたんに、障害物や赤子が手を触れては危ないものは撤去された。やはり人手の足りている余裕のある環境は素晴らしい。

ご満悦でハイハイをしていると、前方に障害物が現れた。立っている人間だ。誰だかはわからなかったけど、この部屋に危ない人物がいるはずがないので、迷わず突き進む。・・・というか、あ、お父様でしたか。

お父様のもとにたどり着いた私は、達成感を味わいながら、お父様の足に手を伸ばしてぎゅっと掴むと、立ち上がった。

「おお、もう立てるのか」

お父様が褒めてくれる。そういえばここしばらくお父様が姿を見せない間に、私はつかまり立ちができるようになったのだった。もっと褒めてくれていいのよと思ってたら、

「おかえりなさい、おとうさま!」

お兄様が駆けてくる。

「今回は長くかかりましたのね」

お母様も近寄ってきた。お父様は、私を抱き上げて、2人を迎える。お兄様は、お父様の足にぎゅっと抱き着いた。

「ああ、今回は少し手間取った」

「最近多いわね」

私の頭の上で、お父様とお母様が挨拶のキスを交わしている。

「隣国はあんなことになって、どうも魔獣の駆除に手が回っていないようだ」

「そうでしょうね。あの者たちにそのような力があるはずもない」

お母様の雰囲気が少し怖くなる。どうしたのかな?

「それなのに、身の程も知らずにあのようなことを・・・」

「アドレイド」

お父様の声がお母様を軽くたしなめるように響いて、そこでなぜかお父様とお母様が私の様子を伺った、気がした。どうしたんだろう。私がお母様を見上げると、お母様は微笑んでくれた。そして、

「さあ、少し休んだほうがいいでしょう」

お母様は話を変えるように帰ってきたばかりらしいお父様に促すと、

「いっしょにおちゃー!」

お兄様がはしゃいだ。それじゃあ、私が参加できないじゃないか。

「だー!」

抗議の声をあげると、

「アレックスもおいで」

と私を抱き上げたままでお父様が歩き出した。どうやらお茶の席に一緒にいさせてくれるみたい。満足して笑うと、お父様とお母様も笑ってくれた。

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