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第百四話「奪首つ」

あけましておめでとうございます。

(光に近い速度で働いていたせいでタイムスリップしたようです)


今年は週3更新目指すぞっ!


このくらいは言っておかないと週1も危うい今日この頃……^ ^;

では今年もよろしくお願いします。m(_ _)m

 


 地響きのような雄叫びが近づくにつれ、剣戟けんげきの響きと断末魔の叫び声が聞こえてきた。

 私たちを取り囲んでいる兵にもそれが聞こえたようで、今捨てたばかりの武器を拾って構える人、そのまま手を挙げて降伏の意を示す人に分かれている。


 やっぱり味方の援軍?


 考えてみたらエドワード王子がここにいるってことは、お城じゃ「王子が行方不明だぞー」とか言って大騒ぎになっててもおかしくない。

 そうよ。大捜索隊を編成して、その内の一隊がすぐそこまで来てたのかも知れないよね。


「あの軍旗はアルギーレ……」


 微かに見えて来た軍勢を見てボソリと呟くエドワード王子。

 アルギーレって、私を目の敵にしてる公爵だかなんかよね?


 ってことは敵ってこと……!?


 そして後ろの土壁から、ガッ、ガッ、ガッ、と何かを打ち付けている音が聞こえて来る。

 明らかに土壁を壊そうとしている音なんだけど。


 どうしよ、このままだと挟み討ちになっちゃうよ……。


 チラリと土壁を見た時、ダダダッダダダッダダダッ、フィハフィヒヒィイインと、地響きともに明らかに動物の鳴き声が前方から聞こてきた。


「そこにおられましたか、エドワード殿下!」


 大音声でエドワード王子の名前を呼びながら、髭もじゃのゴツイおじさんが現れた。ゴツイおじさんは革鎧ををつけたこれまたゴツイ馬にまたがっている。

 その後ろではさっき武器を拾った人達が雪崩れ込んできた兵士に槍や剣を向けられ、また次々と武器を捨てている。


「ご無事で何よりでございます、殿下! この通り、もう大丈夫ですぞ!」


 うげ……。


 ゴツイおじさんの槍の先にさっきの細長いおじさんの首が刺さってるんですけど……。

 細かった目がぐわって見開いていて別人のようだけど、あの骨張ったゴツゴツ顔にカイゼル髭は間違いなくあの細長いおじさん、ミズーロ卿だ。


 いや、あれは人形の頭だ。それか悪趣味な槍のカバーだ。そうだよ、きっとグロ好きのゴルフファー向けにドンキで売ってるヤツだよ……。


 ダメだ。無理やり別物にしようとしたけど、あのぐわっと見開いた目が頭から離れない。


「そんなもの見せるでない」


「いやしかし……」


 エドワード王子が私をチラリと見て言ってくれるも、髭もじゃは不服そうに槍先のアレを見ている。

 私は即座に魔法を駆使してモザイク加工……って無理だよ!


「これは我が主人、アルギーレの手柄の証でもありまするぞ」

「そうだろうとも……。しかと見届けた故、もう十分だ」


 エドワード王子が憎々しげに答えた時、背後でガゴッ、ガタガタガタっと壁が崩れる音が聞こえた。

 見ると壁には直径30センチくらいの穴が開いていた。


「どうやら形勢逆転ってところね?」

「ひゃっ……」


 穴からにょっと顔を出した女の人に思わず悲鳴をあげてしまう。

 だって女の人の顔が焼けただれてぐちょっとグロいことになっているのよ……。

 左目なんて完全に潰れている。


 ふっと女の人が引っ込んだと思ったら目の前が真っ暗になった。そしてキンッと甲高い金属音。

 よく見ると顔の前にレムの手がかざされ、足元にナイフが落ちている。

 このナイフ、女の人のブーツにいくつも付いてたヤツだ。


「フッ、あんたの目も潰しとこうと思ったけど、またゴーレムに邪魔されてしま……」


 顔の前にかざされていたレムの手が凄まじい勢いで壁穴へ振り抜かれ、ガゴォンと凄まじい音を上げて土壁に大穴を開ける。

 瓦礫の先にレムの攻撃を防いだのか、大剣を振り上げた姿勢の女の人が見えた。


「……このお礼は必ずさせてもらうわよ」


 ゾクっとする声を残して行ってしまう。

 向こうから外に抜けられるのだろうか?

 てか、そんなことより時間をもらえたらちゃんと治癒してあげるのに。

 お礼は普通に言葉で言ってもらって終わりにしたかったよ……。


 それにしてもこのナイフが目に刺さったら、ちょう痛いよね?

 いくら治癒できるとはいえ、痛みがない訳ではないんだよね。

 目なんかまつ毛が入っただけでもちょう痛いのに、ナイフが刺さるなんてありえない。想像しただけでゾッとするよ……。


「ありがとね、レム」


 レムはピコピコと目を点滅させて嬉しそうに頷く。

 本当、この子は頼りになるよ。


「あれは殺し屋のシェリルでは……。

 いやはや、あのシェリルが絡んでいたにもかかわらず、傷の一つも負っていないとは大したものでございます、殿下。しかし、このゴーレムは一体……?」

「いいからその首を早く仕舞え」

「はっ、畏まりました。しかしミズーロ卿め、あのような輩と手を結ぶとは貴族の風上にも置けぬ奴。やはりこうなるのも当然の……あっ」


 髭もじゃのおじさんが槍をかざした瞬間、何かが弧を描いて私のもとへ飛んできた。

 咄嗟に手が出てキャッチするも、あまりの重さにふらついてしまう。

 ヨタヨタしながら手にしたものを見て息を飲む。


「……ッ!!」


 目をぐわっと見開いたミズーロ卿と目が合った。


 もう無理……。


 クラリと視界が揺れた次の瞬間、私の意識は完全に遠のいた。


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